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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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断頭台の露と消えた王妃 =09=

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その最期の言葉は、死刑執行人・サンソン医師の足を踏んでしまった際に

○◎ “ごめんなさいね、わざとではありませんのよ。 でも靴が汚れなくてよかった”  ◎○

◇◆ フランス王妃として・・・・・・ ◆◇

  1774年、ルイ16世の即位によりフランス王妃となったアントワネットは、朝の接見を簡素化させたり、全王族の食事風景を公開することや、王妃に直接物を渡してはならないなどのベルサイユの習慣や儀式を廃止したり、緩和させた。 しかし、誰が王妃に下着を渡すかでもめたり、廷臣の地位によって便器の形が違ったりすることが一種のステイタスであった宮廷内の人々にとっては、アントワネットが実施する諸変革は彼らとて 無駄だと知りながらも その実行は今まで大切にしてきた特権を奪う形になってしまい、逆に反感を買ってしまった。

 こうしたベルサイユ宮中で、マリー・アントワネットとスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルセンとの浮き名が、宮廷では専らの噂となった。 一方では、地味な人物である夫の国王・ルイ16世を見下している王妃の言動が随所にあったという。 ただしこれはアントワネットだけではなく大勢の貴族達の間にもそのような傾向は見られたらしい。 まして、欧州一円にその影響力をもつハクスブルグ家の王女であったアントワネットは、 大貴族達の虚言や誹りを無視しできる権勢を備えていた。 他方、彼女の寵に加われなかった貴族達は、彼女とその寵臣をこぞって非難した。

 彼等は宮廷を去った国王の姉・アデライード王女や宮廷を追われたデュ・バリー夫人の居城にしばしば集まっていた。 ヴェルサイユ以外の場所、特にパリではアントワネットへの中傷がひどかったという。 多くは流言飛語の類だったが、結果的にこれらの中傷がパリの民衆の憎悪をかき立てることとなった。 民衆は悪政の根幹にブルボン朝の退廃を感じ取っていたのかもしれない。

 ハンス・アクセル・フォン・フェルセンは、ルイ16世の即位前の1774年1月に、仮装舞踏会でフランス王太子妃=マリー・アントワネット=に出会った。 マリー・アントワネットにとっては数多い寵臣の中の1人ではあったが、同い年ということもあって次第に親密になっていった。 フェルセンのベルサイユへの接近はスウェーデンの国益に準じたグスタフ3世の意図があった。 開明的なグスタフ3世がフランスの状況を調べるべく、若き武官をその情報収集にベルサイユに送り込んでいた。

 1774年5月に先王・ルイ15世が没すると、以前から囁かれているマリー・アントワネットとの悪い噂は終息することなく、王妃となった彼女との関係が、不穏な方向に発展するのを恐れたフェルセンは、スウェーデンに帰国していた。 グスタフ3世の訓名でアメリカ独立戦争(1776年- 83年)に参加した後の1778年に再びフランスに戻ってきた。 フランスの王室スウェーデン人連隊長に任じられての赴任であった。 その後グスタフ3世と共に欧州諸国を廻り、1785年からパリに在住することとなった。

 フェルセンは数ある結婚話を頑なに断り、王妃マリー・アントワネットただ1人に愛を注いだようである。 王妃の不幸が増せば増すほど、献身的に王妃の力となり、支え続けた。 しかしフェルセンの王妃への愛は、スウェーデンの国益に繋がりはしたが、次第にスウェーデンの国策とは異なり始め、グスタフ3世は駐仏大使となったスタール男爵に信頼を置くようになる。

 このような状況下の1785年には、マリー・アントワネットの名を騙った詐欺師集団による、ブルボン王朝末期を象徴するスキャンダルである首飾り事件が発生する。 マリー・アントワネットに関する騒動は絶えない・・・・・・。

 

 

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森のなかえ

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