○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
新たなピラミッド像を追って、エジプト考古学の魅惑の世界=河江肖剰=
= Webナショジオ_“河江肖剰-新たなピラミッド像を追って”より転載・補講 =
☠ 発掘調査と先端技術によって、古代のピラミットの実像に迫る ☠
◇◆ 第四回 ゴミの山は宝の山 = 2/3= ◇◆
「表層だけでも、土器片のほかに、かなりの封泥が見えている。 ここは特別なゴミの山のようだな」 振り向くとレーナー博士とフィールド・ディレクターのモハセンがいた。
「すごいですね。 日本の貝塚を思い出しますね」 私は発見された封泥を渡しながら、一言感想を述べた。 レーナー博士は、その前の年に、日本に招聘されており、その際、東北の博物館に展示されている貝塚の「断面剥ぎ取り」を見ていたために(特に、この展示にひどく興味を惹かれていた)、貝塚についてもよく知っていた。
ここは間違いなく、ピラミッド・タウンの貝塚であり、住居考古学者にとっては宝の山だった。 しかし同時に、実際に発掘する担当者にとっては、出土する遺物の整理、煩雑な記録、層位の判断を含め、悪夢のような発掘になるだろうなと、私は半ば他人事として想像した。
記録、記録、また記録
翌年、新たな発掘シーズンが始まり、フィールド・ディレクターであるモハセンのもと、6人のエリア・スーパーバイザーが発表され、担当区画が割り当てられた。 ゴミの山は「土器の丘」と名付けられ、その発掘チームの責任者として、なんと私の名前が呼ばれた。
"What?!" 普段あげないような素っ頓狂な声を出して、聞き返してしまった。 確かに、その前年まで私が発掘していたエリアは、「土器の丘」のすぐ側の「ユニット1」と呼ばれる邸宅跡だった。 そのことから考えても、私が担当になるのは、ある種、当然の成り行きだったが、それでも、このような貴重なエリアは、自分よりももっと経験豊かなディガーが担当するのだと思っていた。 しかし考えて見れば、ほかのエリアもそれぞれ重要な課題を抱えており、「土器の丘」はその地区を受け持っていた私がするほかないのだった。
同僚のディガーたちは、心から同情するふりをしながら「層位なんぞ無視して、一気に掘ったらすぐに終わるぜ」、「いやいや、ここにアサインされるのは本当にラッキーだよ」と、軽口をたたいた。
「土器の丘」の発掘チームは、スウェーデン人の骨の専門家であるトヴェ・ビジョーク、ギザの遺跡査察局で働く2人のエジプト人女性ニヴィーン・ファラグとファーティマ・ムハンマド、ベテランの人足であるザブート・ムハンマド、そして屈強で無骨な人足ハッサン・ハッサン。そして、日によって変わる3人のアシスタントの計9人だった。
私たちの目的は、この山のような堆積物を取り上げて、分類し、「土器の丘」のゴミの種類を明らかにし、これが徐々に年数をかけて堆積したのか、それともある一定の短い期間に堆積したのかを探ることだった。
実際、もしかすると表面だけが土器に覆われていて、その下は、ほかのエリアと同じように、建造物が倒れた跡だったり、砂や粘土状の堆積物だったりするかもしれなかった。
さらに、この土器の丘のゴミが、家の隣の空き地に捨てられるように捨てられたのか、それとも、何かの目的で集められたりしたのかを探りたいとも思っていた。
=資料・文献=
《河江肖剰》:考古学における新たな計測の可能性(その一)
考古学は、墓に埋葬された財宝やミイラなど、「モノを掘り出す」仕事だと考えられています。しかし、実は、私たちの主な仕事というのは、過去の「情報を記録する」ことです。これによって、人間がどのように文明を築き上げたのか、巨大なピラミッドはどのように建造されたのか、当時の社会はどのように機能し、そこで人々はどのように暮らしていたのかを探ることができます。突き詰めて言えば、私たちが知りたいのは「人間とはいかなる存在であるのか」ということです。それを知るために、私たちは記録するのです。
エジプト考古学の父と謳われたイギリス人考古学者フリンダース・ピートリー卿は、発掘現場に持って行く最も重要な道具としてカメラを挙げました。それは瞬時に、素早く、あらゆるものを記録します。考古学において、写真は生データとして最もインフォーマティブなものとして考えられています。
近年、私は、多国籍産学共同プロジェクトのメンバーとして、エジプトの世界遺産の1つであるメンフィス地区で、巨石建造物の3D計測を始めました。これまでの写真のような2Dの記録から、さらに現実に近い3Dの記録を行うことにしたのです。信じられないかもしれませんが、実は、大ピラミッドの石を一つ一つを示すような計測データはいまだ取られていません。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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