○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
新たなピラミッド像を追って、エジプト考古学の魅惑の世界=河江肖剰=
= Webナショジオ_“河江肖剰-新たなピラミッド像を追って”より転載・補講 = :10ptグレー
☠ 発掘調査と先端技術によって、古代のピラミットの実像に迫る ☠
◇◆ 第四回 ゴミの山は宝の山 = 1/3= ◇◆
「泥の塊?」と思うかもしれないが、実は、そこには情報価値がある。 封泥とは、泥の密封材のことだ。 それは現在で言うところの封蝋に当たる。 欧米では、いまでも封書やワインなどの瓶に蜜蝋(ミツバチの巣から得られる天然の蝋)で封印をし、個人や家系や機関などの紋章をその上に刻印する。
古代エジプト人も、パピルス文書、箱、素焼きの陶器、ドアなどに、泥で封印を施し、そこに印章や手書きで、仕える王の名前や、持ち主の称号や役職、あるいは内容物の生産地や年の印を付けた。
私が発掘している4500年前の都市遺構であるピラミッド・タウンでは、有機物であるパピルスはまったく残っていない。 そのため、唯一の残された文字資料が封泥なのである。 古代においては、封印されたものを開けるときに壊され、廃棄されてしまうゴミだが、考古学的には極めて貴重な情報を与えてくれる。 そのため、この泥の小さな塊が発見されると私たちは好奇心をかきたてられる。
1988年にピラミッド・タウンの発掘が始まってからの17年間で、文字が刻まれた703個の封泥が発見されていた。 書かれてあったのは、ワアベト〈清めの場所〉という名称や、第3のピラミッドを造ったメンカウラーの名前、あるいは〈王家の書記〉という称号だった。 しかし、2005年、私のチームが「土器の丘」と呼ばれるピラミッド・タウンの一区画で発掘すると、そこからなんと2500個を超える封泥が発見されたのである。
ピラミッド・タウンの「貝塚」
「土器の丘」を最初に見たとき、遺物の圧倒的な量に唖然とした。 見つかったのは2004年の発掘シーズンの終わり頃だった。ピラミッド・タウンの南のエリアに堆積していた砂を除去すると、そこから迷路のような町並みが現れた。 そして、その一角の東西に約10メートル、南北に約5メートルの区画に、ぎっしりと土器片や動物の骨が山積みになっていたのである。
シーズンの終わりに突如現れたその巨大な古代のゴミの山は、ひときわ目立つ存在だった。 私がその場所を見たのは、自分の現場での仕事を終え、帰り支度をすませたある日の夕刻だった。 日暮れの淡い太陽の光の中で、何人もの人足たちが、ゴミの山に堆積していた最後の砂を丁寧に刷毛で払っていた。 そのすぐ側には、彼らをまとめるライース〈親方〉が、仕事の様子をじっと見つめていた。
私はライースの横に立ち、その巨大なゴミの山を茫然と眺めた。 私に気がつくと、ライースは手に持っていた小さなモノを渡してきた。 それは封泥だった。 夕陽の光を利用して、封泥に書かれたヒエログリフを読むと、メンカウラー王の別名、カーケトと書かれていた。
=資料・文献=
封泥(ふうでい)とは古代の西アジアや中国において、重要物品を入れた容器や公的内容を記した木簡・竹簡の束を封緘するとともに、責任の所在を示す証明書として用いられた粘土の塊のこと。 封緘、保管、輸送などを担当する責任者を記す記号や文字が刻まれたり、印が押捺されているのが普通。 中国のものは印章と同様に蒐集・鑑賞、篆刻の参考資料として研究されている。
西アジアの封泥はシュメール文明にさかのぼることができる。 紀元前5000年頃から使用例が見られるほか、紀元前3000年頃にはシュメール文明で板ではなく粘土玉により封泥を使用している。
この時期の封泥は交易品など重要物品の容器にかぶせた布や皮を封緘するためと、その内容と発送者の証明書に用いられた。内容物の品目を示し責任を明らかにするとともに、中身の改変を防ぐためである。 いずれにせよ封緘力が極めて強く、破壊しなければ開けられない=開けられたか否かが一目瞭然となる封泥は、その中身を保護・保存する目的には最適であったといえよう。
そして封泥で封緘を行った後は、封緘・保管に関する責任の所在を明らかにするため、必ず封緘した者を示す文字や記号が書き込まれた。 後に印章の使用が一般化すると印が押捺されるようになっていく。
シュメルやアッカドの封泥はローマやギリシャなどにも影響を与え、楔形文字や筆記媒体としての粘土板の発明にも寄与した。しかし封泥自体は8世紀に紙が伝わり使用が一般化すると衰退し、代わりに蝋を用いて封をかける「封蝋」として生き残った。 封蝋は重要な手紙の封緘や、条約締結書など最重要書類の署名を封じて改竄を防止するために使われるほか、高級ワインのボトルのラベルなど装飾目的でも使用されている。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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