◆暴れん坊将軍が、世に蔓延る悪党どもを成敗しようと御庭番を設置(1716年)。
◆白虎隊が腐女子の妄想の種にされた末に、二番士中隊員20人が飯盛山で自刃滅亡(1868年)。 ◆7年前に死者まで出る事態に至った学生による暴動事件の元凶を作った佐藤栄作が、何の因果かノーベル平和賞を受賞(1974年)。その前年のヘンリー・キッシンジャーの受賞に引き続いて、平和賞の怪しさ存在意義が問われることに。
◎ ◎ 創刊120年以上の“ナショジオ”が綴る【 そうだったのか! 】 =第 11回= ◎ ◎
1921-1956期 追考 « 世界初の有人深海調査を支援 (2/3) »
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20mn年04月04日 / (Web編集部)
―まずは気球にした理由から。
「どんなタイプの乗りものを使うべきか? 3種類の可能性がある。気球、飛行機、ロケットだ。まだどれも10マイル上空まで到達したことはない。ロケットは近いうちに行くかもしれない。いつかはもっとずっと高くまで行くだろう。だが、ロケットが現実的な手段となるまでには、地球は太陽の周りをたくさん回らなければなるまい。飛行機は数年のうちに到達するだろうが、まだその高度には適していない」
記事の主な内容は、飛行に使った気球の紹介と専門の宇宙線の話でした。それでも、低気圧も高気圧もない穏やかな成層圏の印象があまりに強く、ラストはニューヨークのビジネスマンが急きょパリへ飛ぶ、なんていうSFチックなバーチャル体験記で締めくくっています。
ニューヨークの自宅で朝食を食べていたら、パリの友人から電話がかかってきて、その日のうちに飛んでディナーを一緒に食べるというストーリー。所要時間は6~8時間と予測。時差はさておき、いま読むとごくフツーの日記みたいです。そのへんのリアリティはさすがです。
「天気は常に良好。雪も、雨も、霧も、霜も、そして機体への氷の付着もない……成層圏は未来の大陸間横断のスーパーハイウェイである」という予言を残してピカールは筆をおきました。いまの国際線の状況をみれば大当たりですね。
気球による高度記録レースで歴史に名を残したもう1人、アルバート・W・スティーブンス大尉はその名のとおりアメリカの軍人でした。しかし、ただの軍人ではありません。陸軍航空隊写真研究所の所長であり、何より実に破天荒で魅力的な人間でした。航空写真家だったこともあり、ナショジオはスティーブンスを支援して、彼が宇宙への扉を開けることになるわけですが、・・・・・・
今回は1930年代、有人宇宙開発の第一歩を歴史に刻んだ2人のうちのもう1人、アルバート・ウィリアム・スティーブンス大尉のお話です。
(すみません、2週前になってしまいましたが)前回の終わりに紹介したように、スティーブンスは米国陸軍に所属する軍人で、1930年代のはじめには、陸軍航空隊・写真研究所の所長をつとめる航空写真家でした。
1930年には、世界ではじめて地球が丸いことがわかる写真を撮影。『ニューヨーク・タイムズ』の1面に掲載され、注目を集めます。地球が丸いことはみなアタマではわかっていても、それまで誰1人として見たことがなかったわけで、インパクトは絶大でした。
また1932年、日食のときに地球に落ちた月の影の撮影に成功。『ナショナル ジオグラフィック』の1932年11月号に掲載されました。これも世界初の写真です。
そんなこんなで当時彼は「世界でもっとも偉大な航空写真家」とも言われていましたが、これも前に書いたように、人間的にも魅力的というか、相当なトンパチ野郎だったみたいです。
空を飛ぶのが大好きで、しょっちゅう航空写真を撮りに行き、墜落した飛行機から無事戻ったことも一度や二度ではありません。
あるときは上空でゴーグルをはずしたせいで、顔を霜だらけにしたまま帰還する。また、単に気分がいいからというだけで、高度7200メートルから飛び降り、非公式ながら新記録を打ち立てたり。なんというか……空飛ぶ豪傑ですね。フライング・ジャンキー!?(笑)
かくも型破りなスティーブンスは、いっとき飛行機による最高高度記録をもっていましたが、当然ながら人類史上はじめて成層圏に到達したオーギュスト・ピカールの1万6201メートルには及びません。またスティーブンスは上空の科学的な観測にも興味を持っていました。そこで、気球による成層圏の調査を計画。陸軍航空隊に提出すると、すんなりと受理されます。
ただし、問題がひとつありました。「金は自分で何とかしろ」という条件です。
そう、ナショジオの出番です!(笑)
フロンティアへの挑戦、そして、科学的な研究を支援するのは協会の使命。スティーブンスの支援をもちろん引き受けます。ビービの深海調査が1933年から34年でしたから、ぴったり同じ時期ですね。
成層圏へのスティーブンスの初挑戦は1934年7月28日に行われました。
目標はピカールの記録をはるかに上回る高度2万4000メートル。高さが26階建てのビルほどもある史上最大の巨大な気球「エクスプローラー1」に、ほかの2人のスタッフと乗り込み、順調に高度をあげていきます。
・・・・・・・・明日に続く・・・・・
次回は “ «有人宇宙開発のはじめの一歩も支援(2/3) » “ に続く・・・・・
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