☆ 冥王星の日(1930年冥王星発見)。 たかが準惑星に記念日なんかいらないよね~えと思った貴方は、発見者がアメリカ人であるから愛国心溢れるアメリカ人にバキューン!!。 ☆ 田沼意次が老中となって(1772年)、江戸幕府界隈で贈ったり贈られたりの風習が当たり前になることに。 ☆ イギリスが時計の針を1時間進ませる(1968年)ものの、世界標準時を擁する国のプライドが許さなかったのか3年後に元へ戻す。
本日記載附録(ブログ)
宿主を操り、自らに都合のよい行動を取らせる寄生虫がいる
聞いただけで気持ち悪いが、そんな寄生虫であるハリガネムシ
宿主カマキリから遺伝子を受けることで、宿主操作を成し遂げている
ハリガネムシと宿主の異常行動を、森と川の生態系の中に位置づけて研究
専門分野は生態学、宿主操作のメカニズム研究者・佐藤拓哉(11/11)
【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
第6回 ハリガネムシがつむぐ「森と川のフルコース」詳細レビュー =2/2=
「ハリガネムシに感染されるカマドウマって、川から50メートルも離れるとガクンと少なくなるんですよ。水生昆虫の分散に依存しているので。だから、その範囲の外に母体があるような個体群やったら、個体群としては大丈夫。あるいは、カマドウマ2種がすごく競争しているような系だったとすると、これは生態学の理論でよくあるんですけれども、片方が多くなってくると確率的に感染が高くなるので、川に飛び込んで殺されるのが増えると。そうすると今度は、もう片方の種が増えてくるとか──」
やっぱり個体レベルでは救いがなさすぎる話である。いや、ほんの少しなら救いめいたことはあるかもしれないと佐藤さんはいう。
「どうせ寄生されているんだったら、最悪、早めに飛び込んで、早めにお尻から出ていってもらったら、もう一度人生をやり直せるかもしれないみたいな、そういう考えを言っている研究者はいます。バッドな状況での協力があるかもしれない、と。そうすると、いくらこのお腹の中がハリガネムシで覆い尽くされたとしても、3個ぐらいは卵持てるとか、矮小化した精包は持てるとか。飛び込んだとしても、ハリガネムシを出してからもう1回陸域に上がることさえできれば、少しは次の世代に自分の子供を残せるかもしれないという」
うーん、これを救いというのには、ほど遠い気がする。そして、ぼくにしても、当面、何かでカマドウマを見るたびに、「お、エネルギーの流れが」などと最初に思うことだろう。
そして、今回のストーリーの主役であろうハリガネムシに再登場ねがおう。
宿主の行動を操作する恐ろしい奴だが(このとき、我々が感じる恐ろしさは「寄生されたら嫌だ!」に尽きる)、今回のフィールドで何匹も見ているうちに印象が変わってきた。
「ハリガネムシって、カマドウマほど嫌がらない人の方が多いんですよ」と佐藤さん。
「実物を見せると、「ああ、これか」と触ったりできる人も比較的多いんですけれども、カマドウマは見るのも嫌とか言われてしまいます」
本当にカマドウマはどこまで行っても嫌われており、救いがない。ぼくは、結構格好良いと思っている、ということを、あらためて強調しておこう。それが彼らになんの慰めにもならないとは承知しつつ。
そして、ハリガネムシが、実際に見ると、それほど嫌ではないというのもまた事実だと思う。『寄生獣』みたいにパカッと開くというのは滅多に起きることではないし、クチクラの体は、見た目も触感もどこか無機的だ。動き方はたしかに気持ちわるいが、手に取ってみると、それほど素早くないので、ハリガネに合成樹脂の被覆をしたもののようにも思えてくる。
ぼくたちがフィールドにいる間に、2匹の完全体、つまり、どこも切れていなくて30センチ以上あるようなものを見つけたのだが、その1匹はオス、もう1匹はメスだった。
「こいつたち、一緒にすると、すぐに絡まりあっちゃうんです。宿主をあやつって、水の中に入っても、そこですぐに相手が見つかるわけでもないでしょうし、見つけたら離れないみたいな」
実は、今回、生き物として、個体として見た場合、一番、心にしみたのは、美しい渓流魚でも、気の毒なカマドウマでもなく、このハリガネムシたちだったことを告白しておく。
非常にトリッキーな方法で生活史をまわしている彼ら・彼女らのことを知ると、その巧妙な手法に驚かされるわけだが、しかし、それでも、どれだけの偶然に支えられて、この子たちはここで出会ったのであろうかと考えてしまうのだ。
うまく水生昆虫に寄生してもカマドウマまでたどり着けるか分からない。カマドウマを操って、水に飛び込ませても、すぐに渓流魚に食べられるとやはりお腹の中で死んでしまう。無事に水に出ることに成功しても、遊泳力に秀でているわけでもなく、どうやってつがう相手を探せばいいんだ! これはほとんどキセキではないか。
このとき、秋の美しい山林の瑞々しい林床で、清らかな水流を間近に感じながら、ぼくの頭の中で小泉今日子が歌う「優しい雨」のサビがリフレインした。粛々と生活史を回すハリガネムシ的日常の中で、偶然、しかし運命的に出会い、始まってしまった2人である。だからこそ、そんなに慈しみあうように求め合って、解けない結び目みたいに絡まり合うのね。
ハリガネムシに変な感情移入をおぼえ、その途中で犠牲になった宿主のカマドウマにゴメンナサイ、と思いつつ、妙にしんみりした気分の研究林だった。
ぼくらが会った2匹のハリガネムシは、佐藤さんの研究室に「お持ち帰り」ということになったので、今も、研究室で仲良くしているかもしれない。気になって問い合わせたら、無事に産卵し、孵化しそうだと連絡があった。善き哉。
それにしても……最後は、ハリガネムシに感情移入して、帰ってくることになろうとは思ってもいなかった取材であった。
おわり
次回は新企画” 小野林太郎/ ヒト、海洋に出会う(人類の拡散) “に続く・・・・・
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https://youtu.be/secF2pbv1G4== ハリガネムシに操られるカマキリ ==
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