☆ 朝、空腹時の血糖値が126mg/dl 以上、また通常時が200mg/dl 以上、この両方を満す貴方は「糖尿病」。そして、今日は“世界糖尿病デー”。 ☆ 水戸黄門が隠居(1690年=幕府より隠居の許可がおり、養嗣子の綱條が水戸藩主に)。以後は日本全国を彼方此方旅しては悪代官どもを懲らしめる日々を過ごし、後年 演劇界のヒーローとして蘇る。 ☆ カール・ラントシュタイナーがマスゴミや占い師のネタを考案、だが当初は安全な輸血と言う切実な問題を解決する手掛かりだった(1901年=ABO式血液型を発表)。
本日記載附録(ブログ)
人間って何だろう?そして、「人間って何だろう」と思う心って何だろう?
そんな疑問に端を発して、ヒト(人)以外の霊長類を比較認知科学的視点から研究
ヒトに最も近縁なチンパンジーを主な研究の対象に選ぶ
「熊本サンクチュアリ」に行って59にん(人)のチンパンジーと暮らす
= 未踏の領野に挑む、知の開拓者・平田聡(07/mn) =
【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
第3回 チンパンジーのあの「ナッツ割り」を見た! =2/2
野生ではギニアのボッソウなど主に西アフリカのチンパンジーだけが、この行動を文化として持っている。生得的な行動ではなくて、文化的なものだから、教えれば習得する。そして、学習というテーマは、実は、平田さんの観点からは、すぐれて社会的知性にかかわるものだ。
「チンパンジーの学習って、人間みたいに手取り足取り教えてもらうということがないんですよね。親は手本を見せるだけで積極的に教えるわけではないんだけれども、子どもが何かしようとすると、非常に寛容に優しく、いや、優しくというか、拒否はせずに黙って手本を見せ続けるっていうのがチンパンジーの母親、親のあり方だと。松沢先生なんかに言わせると、師弟教育、ですね」
チンパンジーの学習のこういった特徴を、平田さんらは、飼育下のチンパンジーの学習行動を観察することで確認してきた。
「きょう、最初に会った体の大きな男性でロイというチンパンジーが5歳の時に、ナッツ割りを教えて、それが、ほかのチンパンジーにどうやって伝わるかを調べたんです。最初に教えるのはなかなか大変で、それこそ手を取って動作をやらせてみたり、あるいはマカダミアナッツじゃなくて人工的なナッツをつくって、ちょっとだけ当たったらもう割れるっていうような仕掛けでやらせたり、本当にいろいろやってみました」
結果、ロイがナッツ割りを習得するまでに1年半を要した。
では、ロイからほかのチンパンジーが学ぶのに要した時間は?
「チンパンジーからチンパンジーへ伝わるのは、圧倒的にはやかったです。その時、ロイ以外にも、4にんのチンパンジーがいたんですが、2週間で全員できるようになりました。一番はやかったのは7日目ですよ。ロイもひとりでやっているよりもモチベーションがあがって、みんながいる運動場で黙々とやりますし、学ぶ側も、チンパンジーの目線で仲間のロイ君がやっているのと、同じことやってみようってなったんでしょうね。だから、人から習うよりは仲間のチンパンジーを見たほうが圧倒的にはやかったっていうところはあるんだと思いますね」
人間が文字通り手を取って、諸々、工夫するよりも、仲間同士で見よう見まねをした方がはやいというのが面白い。「師弟教育」というコンセプトが正しいことも立証されたのだが、さらに、その過程で深く見えてきたこともあるそうだ。
「正しくナッツ割りをしようと思ったら、台石の上にナッツを置いて、それをハンマー石でたたかなければならないのですけど、大体どのチンパンジーも最初は何もしないんです。石だけをいじったり、ナッツだけをいじったりなめてたり。台石、ハンマー石、ナッツ、3つのものがそれぞれバラバラの状態です。そこに成功した仲間がいると、まずは台石の上にナッツを置いてみるっていう頻度が上がります。さらに、それとはまた独立に、地面の上の石を手でたたいてみるっていう行動も出てくる。台石、ナッツ、ハンマー石の3つのうちの2つを組み合わせる行動が出て、しばらくして、その3つが組み合わさるっていうフェーズがある。多分、相手を観察しながら全体を一気には理解してないにしろ、パーツパーツをある段階で理解して、それが順々に進んでいって統合されてできるようになるんですね」
次回記載“第4回 動物の協力行動を調べる画期的な「平田の装置」とは”に続く・・
【参考資料】 : 「進化の隣人」チンパンジーに、ヒトの「心の起源」を探(4/8)
Ω・ 京都大学野生動物研究センター ; 平田 聡 教授/熊本サンクチュアリ所長 ・Ω
ここからは、平田教授の研究について紹介したい。施設内で教授がまず見せてくれたのは、タッチパネルを使ったある装置だった。チンパンジーにタッチパネルの画面を見せ、自発的に操作をさせる。
「画面の左右には、1つの点と3つの点が同時に表示されます。1つの点を選ぶと、ペレット(粒)状の餌が1粒すぐに提供され、3つの点を選ぶと、提供される餌の数は3つに増えますが、5秒待たなければ出てきません。この時間の長さや個数を変え、チンパンジーは、より多くの報酬を得るためにどれだけの時間を待つことができるのか、データを蓄積していきます。チンパンジーが将来の報酬をどのように認識しているかを調べるのがこの研究の目的です」
これは、行動経済学で「時間割引問題」として知られる研究のチンパンジー版だ。
「時間割引問題」とは、すぐ手に入れられる報酬と、一定時間待った後で得られるそれより大きな報酬と、どちらを選択するかに関する問題のことだ。たとえば、今すぐもらえる1万円と、1日後にもらえる1万1千円のどちらを選ぶか。1日後にもらえる金額が1万500円だったら、あるいは1万2千円だったら、もしくは1週間後に1万1千円をもらえるとしたら……。というように、時間と報酬の多寡を変え、将来の報酬を、人が現在時点でどう評価するかを調べていく。将来のプラスαの報酬よりも、今すぐ手にできる報酬を選ぶ人も多いことで知られ、将来の報酬が現在の時点でどれほど「割引」されているかを見るために、「時間割引問題」と呼ばれるようになった。
「これまで『時間割引問題』の研究はヒトでなされてきましたが、チンパンジーはじめ霊長類では、こうした調査は行なわれていません。数理生物学者と共同研究を始め、データをとり始めたところです」
これまでのところ、実験に参加する6人のチンパンジーたちは、少しの時間待ってでも、より多くの報酬を選ぶ傾向が強いという。タッチパネルを使った研究は、平田教授が力を入れて取り組み始めているアプローチである。
・・・・・・・つづく
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