ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年09月16日<ⰧⰊⰧ ◆ 海のかなたに夜逃げするためメイフラワー号がイギリスを後にする(1620年)。◆ メートル法強制一辺倒だった日本政府が、渋々ながら尺貫法の使用を認めざるを得なくなる(1977年)。即ち、曲尺・鯨尺の製造販売を許可。◆ 日本国有鉄道がようやく日本一のお荷物路線=美幸線=をスクラップ(1985年)。
本日記載附録(ブログ)
日本からも200人以上が参加する素粒子物理研究の最前線
欧州原子核研究機構、通称CERN(セルン)、欧州21カ国の共同運営
ノーベル賞を受賞したヒッグス粒子発見の舞台である
スイスとフランスの国境地帯にあり、全周はなんと27キロ
【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
CERN/セルン(09/mn)
◇◆第3回 そして、ヒッグス粒子発見の瞬間がやってきた =3/3= ◆◇
近藤さんが、グループ長的な立場になりつつ、日本のチームがかかわった部分は、多岐にわたっている。検出器そのものだけではなく、センサーからの読み出しにかかわる電子的な回路から、実験を行うために必ず必要なシミュレーションのための基本ソフトまで。建設期間は実に15年に及んだのだが、その間、日本だけでも16研究機関・大学が参加し、当然、メーカーの技術者もかかわって、創り上げた。
日本の貢献部分についてあらためてまとめると、
・検出器全体に影響する中心超伝導ソレノイド電磁石
・1000 台のシリコン飛跡検出器
・1200 台のミューオン検出器のチェンバーと 40 万チャンネルの電子回路
・シミュレーションのための基本ソフトウエアの構築
とのことだ。
LHC加速器は、本来、2008年に運転開始する予定だったが、冷却用の液体ヘリウム漏れ事故が起こり、1年間開始が遅れた。これは加速器本体側の問題だが、検出器側もその時間をいかして、さらなる信頼性向上を果たした。決してマイナスばかりの遅延ではなかったという。
そして、11年から12年にかけての実験の中で、とうとうヒッグス粒子発見の瞬間がやってきた。
もっとも、その発見は「陽子と陽子を衝突させたら、ヒッグス粒子が出てきました。 発見! めでたしめでたし」というようなものではない。
素粒子実験で、ある粒子ができるのは、確率イベントだ。無数に陽子をぶつける中で、たまにヒッグス粒子ができる。ただ、出来てもすぐに崩壊してしまうので、ヒッグス粒子に特徴的な崩壊の仕方を理論的に予測して注目する。具体的には、ヒッグス粒子が2つの光子に崩壊するルートなど。ただし、既知の素粒子反応でも同じ現象は起きるので、観察される膨大な事象の中で、既知の反応として予想されるバックグラウンドに加えて、ヒッグス粒子由来の反応分が増えているかどうかを確かめる。そして、それが統計的に充分に有意か、非常に厳しい5σ(99.9999パーセントの確からしさ)をクリアするまで確認しなければならない。
だから、「きょう発見されました!」と言えるわけでもなく、徐々にじわじわと5σに向けてデータが蓄積していくプロセスだった。そこに至るまで、陽子・陽子を衝突させた回数は、実に2000兆回!
「CERNに集う数千人の研究者の1人として、本当に幸せですよ。クォークや電子に質量をもたらすヒッグス粒子を発見するまでに50年。アメリカのSSC加速器が中止になって、多くの関係者が大変な目にあった時期から20年です。物理学史上画期的といえる発見にかかわり、その場に居合わせることができたのは、本当に希有な幸運だったと思います」
近藤さんは、少し遠くを見る目になって、微笑んだ。
次回は “第4回 神の素粒子を検出するということ”に続く・・・・・
【参考資料】 : ヒッグス粒子(3/3)
Ω・ ヒッグス粒子/ ヒッグス・ボソンは素粒子の一種 ・Ω
2011年12月、CERNは、2つの研究グループが示したLHCの10月末までの実験データの中に、ヒッグス粒子の存在を示唆するデータがあることを見つけ、12日、ヒッグス粒子は 「glimpse(垣間見えた)」と発表した。これは、「発見」の発表ではない。発表の最後にCERNの所長は、「ヒッグス粒子が発見されたかどうかを決定するにはより多くのデータが必要である。次の稼働期間(2012年11月のデータ収集期間)が終われば決定されるであろう」と語った。
翌日の13日に、ATLAS実験グループとCMS実験グループはそれぞれ、ヒッグス粒子が存在するとして95%の信頼性区間に対応する質量領域が 115–130 GeV/c2 (ATLAS)、115–127 GeV/c2 (CMS) と発表した。最も可能性の高い範囲は、3.6σ(σ は1標準偏差)の統計レベルで 125-126 GeV/c2 (ATLAS)、2.6σ で124 GeV/c2 (CMS) である。
その後、2012年7月4日、同施設で「新たな粒子を発見した」と発表された。質量はCMS:125.3 GeV/c2(統計誤差は±0.4、系統誤差は±0.5、標準偏差は5.8)、ATLAS:126.0 GeV/c2(統計誤差は±0.4、系統誤差は±0.4、標準偏差は5.9)である。だが、この「新しい粒子」が、捜し求めていたヒッグス粒子であるのかそうではないのか、ということについては確定的には表現されず、さらに精度を高めて確かめるために実験が続けられる、とされた。
2013年3月14日にCERNは、2012年7月31日の時よりも2.5倍も多いデータを分析した結果、新たな粒子はヒッグス粒子である事を強く示唆していると発表した。例えば、ヒッグス粒子は理論的にはスピン角運動量が0であるとされているが、データ解析の結果それと一致することが確かめられた。
ヒッグス粒子を大量に生成しうる加速器施設を「ヒッグスファクトリー」と呼ぶ。計画・構想として、日本が候補地の一つである「国際リニアコライダー(ILC)」のほか、中華人民共和国の「CEPC」、欧州の「FCC」「CLIC」がある。
・・・・神の粒子、「ヒッグス粒子」の存在がついに確定される(国際研究)・・・・
物質を構成する素粒子に質量を与えたとされる未知の粒子「ヒッグス粒子」の発見が、東京大や高エネルギー加速器研究機構などの国際チームの実験で確定したそうだ。
実験に使われた大型加速器「LHC」を持つ欧州合同原子核研究所(スイス)は昨年7月、「99.9999%以上の確率で、ヒッグス粒子と考えられる新粒子を見つけた」と発表した。だが、さらに実験を進めて確度を高める必要があった。
チームは、ヒッグス粒子が崩壊して別の素粒子に変わるパターンなどを調べ、質量が陽子(水素の原子核)の約134倍にあたる125.5ギガ電子ボルトと判定した。素粒子の自転を表す量「スピン」も理論通り「ゼロ」と確認した。これらの結果から「学術的に発見が確定した」と結論付けた。
無限に広がる宇宙になぜ銀河や星があり、我々が存在するのか。その謎を解く鍵が素粒子のヒッグス粒子だ。万物に質量を与え、多彩な世界を創造し「神の粒子」と呼ばれる素粒子の発見は、現代物理学の根幹をなす「標準理論」というパズルに残された最後のピースを埋める理論の完成を意味する。
ヒッグス粒子が存在しているというアイデアの源泉は、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎博士が1960年代に提唱した理論にある。だが、素粒子は重いほど検出が難しく、ヒッグス粒子の発見には半世紀もの歳月を要した。
国際チームの浅井祥仁・東京大教授は「宇宙にある暗黒物質の正体など、説明できない問題がまだ山積している。標準理論を超える新しい物理学が重要だ」と指摘。今回の発見で、素粒子物理学は新たな段階に突入した。
・・・・・・・おわり
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https://youtu.be/MBpaBv9xhQQ == CERNに行ってきました。こりゃどんなSF映画よりもすごいわ…==
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