ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年08月24日<ⰧⰊⰧ ◆ 1572年のフランス(サン・バルテルミの虐殺)や1929年のエルサレム(嘆きの壁事件)などこの日は神の名の下に異教徒を幾らでも血祭りに挙げても赦される日らしい。 ◆ ソビエト連邦共産党(1991年=ミッチィが党の解散を宣言)と冥王星(2006年)がリストラされた日。 ◆ アメリカに不法占拠された松江市が、右も左もない連中によって攻撃を受ける(1945年)が、ポンペイが消えて無くなった(79年)事件に比べれば屁のような事件で1ヶ月遅れで報道された。
本日記載附録(ブログ)
物理学の理論を纏い、天文学の観測を駆使して天空に挑むドンキホーテ
== ビッグハ ゙ン、ダークマター、ダークエネルギー、インフレーション理論、宇宙背景放射、重力波 ==
宇宙の謎と万物の根源を解き明かすべく、観測衛星WMAPを駆使した宇宙物理学者
『天文学者ですがなにか?』と天空から話し掛け、時々 ピアノを弾くためで宇宙から地上に戻る
【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
“宇宙論の黄金時代”のエースとして活躍するマックス・プランク宇宙物理研究所所長
=宇宙の始まりから終わりまでを理解するのを生涯の目標とするシニアフェロー小松英一郎=
小松英一郎(10/mn)
◇◆第4回 宇宙はかつて音に満ちていた =1/3= ◆◇
前回の最後に、実はビッグバンは宇宙の始まりではない、という刺激的な話題を盛り込んだので、本筋の再確認を。
小松さんは、WMAPの計画に参加し、「宇宙論を決める」仕事に大いに寄与した。信頼を勝ち得、2年に一度に出されるWMAP衛星の観測と分析の論文の筆頭著者を、2009年、11年に任され、宇宙の歴史をかなりの精度で確定した。
では、それはどのように行ったのだろう。
宇宙背景放射のゆらぎを高精度で見ることで、様々なことが明らかになったわけだが、それをもう少し詳しく知りたい。取材するにしても読書するにしても、素人なりに理解できるところまで限界に挑戦するのが、こういったテーマの醍醐味である(よって、本稿の場合、どこで匙を投げるかは、ぼくの力量の限界でもある)。
小松さんに問うたところ、これまた強烈に面白い答えが返ってきた。
「実は、音波を見なければならなかったんですよ」と。
もう頭の中は???である。
宇宙なのに音波?
ぼくの理解では、音波は地球上にある大気のように物質がかなり密にあるところではじめて伝わるものだ。よく宇宙を舞台にしたSF映画などで、敵宇宙戦艦にミサイル(波動砲でも、なんでもよい)が当たった時、派手な効果音が付けられているが、本来は音は伝わってこないとわかった上で、演出上、必要と判断されているのだろう。
なにはともあれ、音波を見る、とはいかなることか。
「インフレーションから宇宙が晴れ上がるまでの間、光と物質が互いに散乱しあっていて、全体でひとつの流体のように振舞っていたんです。その間、光と物質の流体を伝わるのは、音波、つまり疎密波でした」
なるほど、気体である地球大気も流体の一種だ。疎密波とは、物質の密度の変化が次々と伝わっていくタイプの波。空気を伝わる音波はその身近な例である。宇宙初期、「宇宙の晴れ上がり」よりも前の時点では、宇宙を満たしていたのが流体で、そこでまさに音波が伝わっていたとは!
音波だから、当然のごとく伝搬の速度は光速になるはずもなく、だいたい光速のルート3分の1(およそ60パーセント)くらいだったそうだ(時期によって微妙に違う)。
と、そのようなことを理解した上で、やはり疑問なのは、そのような宇宙の中で飛び交っていた音波とは、そもそも何が起源なのか。
これまで伺った話から、候補は自ずと浮かんでくる。
よく科学啓蒙書などで描かれてきた「光、あれ」というビッグバン的な爆発のイメージではなく、「音、響け」とばかりに起きた現象とは──。
「インフレーションですか」と聞いたところ、「ええ、そうです」とあっさりと正答だったようだ。ただし、事態はちょっと複雑だ。
「宇宙が始まってすぐにインフレーションがあって、その最中に生み出されたゆらぎによる衝撃が音波として広がっていったんです。インフレーションの最中にはゆらぎがつくり続けられてるんですよ。それも誰かが一撃、カーンと打ったようなイメージではなく、実はカンカン、カンカンと何度も起きるわけです。それを調べることで、宇宙がなにから出来ているかですとか、大切なことがわかります」
・・・・・・・・・明日に続く・・・
【参考資料】 : 暗黒物質・暗黒エネルギーの謎に迫る (6/14) ;
Ω ―我々の住む宇宙は何からできているのか/ 村山 斉 東京大学特別教授― Ω
暗黒物質は原子ではない
図に於いておかしいのは、ピンクと青のペアがあり、その一つが銀河団を形成しているが、暗黒物質がある所とガスがある所がずれている。暗黒物質の重力で銀河が留まるとすれば、暗黒物質とガスは本来一緒にいるはずなのにずれている。左側も右側も青とピンクのペアがあるが、ずれている。何が起きたかと言うと、右側の銀河団と左側の銀河団がものすごいスピードで衝突した顛末だということがわかった。毎秒4500 kmだから1秒間で日本列島を超えてしまう速さだ。
この高速で2つの銀河団が衝突するとどうなるか。両方の銀河団は暗黒物質の塊で、ほんのわずかガスが入っている。2つの銀河団が衝突すると、ガス同士は原子だから、原子は大きさがあるので、衝突すると反応して、摩擦ができて熱をもち後れをとる。しかし、暗黒物質は何事もなかったかのように通り抜けてしまう。ガスは摩擦があったので後れをとったのだが、暗黒物質が重力で引っ張って、とぼとぼと雑巾のように暗黒物質について行っている。
わかったことを整理してみる。銀河団といえども基本的には暗黒物質で成り立っている。銀河団同士が衝突すると、ガス同士は衝突して反応して熱くなって摩擦ができて遅れをとる。しかし、暗黒物質とガスはそのまますり抜けてしまう。暗黒物質同士もすり抜けてしまう。妖怪のような気味の悪い存在だ。衝突しても反応しなかったので、少なくとも原子でないことは明らかである。
ビッグバンはのっぺらぼうであるという話をした。しかし、それでも、ほんのわずかの暗黒物質の濃淡があり、暗黒物質の濃い所が周囲のものを引っ張ると、もっと濃くなってもっと引っ張る。すると、重力がさらに強くなるから、もっと周囲のものを引っ張ってもっともっと濃くなる。すると、重力がさらに強くなるのでもっと引っ張る。それを繰り返すうちに、コントラストがはっきりしてくる。つまり、濃い所と薄い所ができる。濃い所にはガスが引き込まれるから、ガス同士は先ほどのようにガチャガチャ反応して光を出すと冷えて固まって星ができ銀河ができ、我々が生まれた。これは「構造形成理論」と言われるもので、2019年にノーベル物理学賞を受賞したジム・ピーブルズ氏が提唱した理論だ。
・・・・・・・・明日に続く
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