ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年06月19日<ⰧⰊⰧ ◆ 味方だと思って歓迎の準備をしていた鎌倉幕府の六波羅探題が、その援軍の大将に襲撃される(1333年)。 ◆ とある文士が愛人と一緒に玉川上水にてグッド・バイしているのが見つかる(1948年)。これを記念してか、その当人の墓標がファンによってさくらんぼまみれになる一日でもある。 ◆ 前日行われたライバルの虐殺プレイ生中継に恐れを為した自称「兜町の風雲児」が、警察署に自分からお縄にされる(1985年)。
本日記載附録(ブログ)
ロシアがウクライナに侵攻した背景とその行方を広厚に理解すべく、旧ソ連諸国紛争や「未承認国家」「ハイブリッド戦争」の著作
日本の政治学者=国際政治・比較政治学・コーカサス地域が研究テーマ
=黒海地域の国際関係・政治経済変動などが主な業績=
研究課題“ロシアのハイブリッド戦争とその影響”/‘14年12月以降 継続中
【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
廣瀬陽子(18/nx)
◇◆ 第6回 ウクライナ侵攻の伏線、欧米が関与した旧ソ連の「民主化」と「ハイブリッド戦争」=4/4= ◆◇
旧ソ連諸国の「民主化」をめぐる鍔迫り合いが、「ハイブリッド戦争」の要素を折々に散りばめつつ、2022年2月に至る伏線となったことを見た。さらにもう一つだけ、2020年代に入ってから、この文脈において重要な事項がある。前回でもすでに少し触れた、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争の再燃だ。
この「第二次ナゴルノ・カラバフ戦争」においては、1994年の停戦以来、16年ぶりの大規模な戦闘となり、戦い方は現代化した。相互にサイバー攻撃を仕掛けあい、政府メディア、ソーシャルメディアを活用したプロパガンダが飛び交う中、アゼルバイジャンはトルコから購入した無人戦闘航空機バイラクタルTB2なども有効に活用して、戦闘を有利に進めた。そして、今度はアルメニアに対して勝利を収め、これまで実効支配されていたうちの4割もの国土を取り返した。メディアでは、この戦いについて、ハイブリッド戦争の勝利と捉える向きが多い。
「2020年はもちろん、サイバー情報戦などもあったし、ハイブリッド戦争の要素も多くて、いろんな現代的な兵器を使って展開したことは間違いありません。でも、戦後の発表では、アゼルバイジャン兵も相当(2783人)死んでいるんです。はっきり言ってアルメニア兵死者(2718人)より多いんですよ。そうなりますと、トルコから購入した無人戦闘航空機バイラクタルTB2などがゲームチェンジャーになったというのも事実ではありながら、最後は陸軍の血みどろの戦いなんですよね」
ここで廣瀬さんがあらためて強調したのは、ハイブリッド戦争の非正規的な戦闘の段階で勝敗が決まるわけでは必ずしもなく、最後は多くの人命を戦場ですり潰すような、旧来型の戦闘になる、ということだ。現代的な様々な手法を組み合わせることで、有利な局面を導くことができたとしても、それによってすべてが決まるわけではないのである。
こういったことは、2022年2月以降、ロシアによるウクライナ侵攻で、わたしたちが見ているものを考えれば納得できるだろう。クリミア併合のようなことは、むしろ例外だし、長い目で見れば「導火線」ともなっていると考えられる。
「今回ウクライナとロシアも、両方ともがフルスケールのハイブリッド戦争をやっていると思います。その上で、今回のハイブリッド戦争の非正規戦の領域に関してはウクライナの方が勝っているんです。その背景には、ウクライナが、2014年の敗北後、軍がものすごい現代化を図ってきたことがあります。
一方でロシアは、昔のウクライナのままだと思っていたみたいですね。でも、実際はかなり改善されていて、例えば電気と電波は絶対落ちないようにするとか、あとは国民の意識を高めたりとか、ITとドローンの戦闘においては一般人も巻き込むとか、様々な対応をしてきました。例えばロシアって今回補給が全くダメでしたけれど、その理由の一つに、ウクライナのサイバー攻撃で、ベラルーシの鉄道を止めて、物資が届くのを2日間ぐらい遅らせたということもありました。それなのに、ロシアは2014年から成長がほとんど見られない。ハイブリッド戦争を有利に戦うには、最先端の技術も必要だということですよね」
ウクライナ側が、ハイブリッド戦争において、大きな成功を収めているのは間違いなく(それは国際的な支援を取り付けるための情報戦略も含まれるだろう)、それによってなんとか戦線を膠着状態に持ち込んでいる。しかし、勝利するには至らない。実際には、両軍とも多くの人命が失われる戦闘を続けている。非正規戦で決着がつかない以上、「最終的には陸軍の戦い」となって、命を損耗するのが、今も変わらない戦争なのだと廣瀬さんは強調した。
次回は“第7回 「ウクライナ侵攻はない」と旧ソ連の専門家はなぜ主張したのか”につづく
【参考資料】 : 「ウクライナは民族国家なのか」(4/4)
Ω・Ω・Ω ロシアとウクライナが「こじれた」複雑すぎる経緯 歴史で紐解く Ω・Ω・Ω
地理的にも不幸なウクライナ
ウクライナにとって不幸なのは、地理的問題だ。ウクライナは今のロシアにとってEUとの緩衝地帯である。さらに、ウクライナを流れるドニエプル川そしてドネツ川(ドン川)が、ロシアへつながっていることだ。北の海しか持たないロシアの重要な輸送路は、黒海である。黒海に入った船はロシアに向かってこれらの川を上る。これと良く似た不幸な地理的地域がドナウ川流域だ。ドナウ川はルーマニア、ブルガリア、セルビア、ハンガリー、スロバキア、オーストリア、ドイツ(流域を含めるとウクライナも通る)を流れる。これらの国は、一蓮托生であり、勝手な行動を取ると紛争に発展する。
ましてウクライナの東部の天然ガスが、西欧へ流れていく点で、ウクライナは重要な地点である。しかし、一方でロシアとドイツとのノルドストリーム1、2が建設され、さらにはトルコからブルガリア、そしてドイツへと流れる天然ガスのパイプラインができれば、ウクライナは取り残される。それはロシアとドイツの協力による、戦後のヨーロッパ体制の崩壊であり、またEUの崩壊であり、アメリカとフランスにとっても傍観はできない。
だからこそ、この地域はバルカンと並んで重要な地域であり、アメリカの軍事戦略とロシアの軍事戦略が真っ向から対立する地域でもある。巻き込まれているのは、ウクライナだけではない。ルーマニア、ブルガリア、セルビア、ポーランド、バルト3国など周辺諸国も巻き込まれている。NATOとEUの拡大は、これらの地域をロシアとの対立へ誘うことになる。不幸な話である。
ウクライナは歴史に翻弄されてきた地域である。オスマントルコの時代には黒海沿岸部はオスマントルコの支配を受け、ロシアの南下によってロシアの支配を受け、つねにいずれかの強国の支配を受けざるをえなかった地域である。それはバルカンに極めて似ている。今ウクライナに似ているのは、バルカンのセルビアだ。セルビアは、EUとロシアの狭間に立っている。セルビア大統領ヴチッチは、アメリカとロシアの2つの大国を天秤にかけながら外交しているが、場合によってはセルビアの大統領だったスロボダン・ミロシェヴィッチ(1941~2006年)のように大国によって失脚させられるかもしれない。
最初にあげたゲルツェンの書簡は、こうした地域にとっての1つの示唆を与えてくれるかもしれない。彼はこう述べている。
「中央集権化はスラブ精神と相容れない。連邦組織の方がその性格にとってはるかに固有のものである。自由な独立的な諸国民の同盟として結集することによってのみ、スラブ世界はついに真の歴史的存在となるだろう」(前掲書、163ページ)。
・・・・・・・・明日に続く・・・・・
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https://youtu.be/M97oDTh-Qf8 ==ロシアが仕掛ける「ハイブリッド戦争」でウクライナが善戦している理由 ==
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