ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年05月15日<ⰧⰊⰧ ◆ 勝手に押しかけてきた兵隊さんに時の総理が説教しようとしたところ、銃弾をお見舞いされ軍人のDQN振りが問題化(1932年、五・一五事件)。◆ マクドの第一号店が開店(1940年)。当初は兄弟で細々とやっていたが、出入りのセールスマンが経営権を買い取り今では全世界を席巻するエサの供給業者に。◆ 沖縄県が、27年ぶりに日本領土となる(1972年)。とは言いながら、県の11%は今もなお米軍の占領下にある。
本日記載附録(ブログ)
アフリカでしばしば大発生し、ユーラシアの農作物に深刻な被害を及ぼすサバクトビバッタ。
防除のために巨額の費用が投じられているが、未だに根本的な解決策は見出されていない。
『バッタを倒しにアフリカへ』と単身、西アグリカ・モーリタニアに渡った日本人がいる。
”愛するものの暴走を止めたい”と語る前野ウルド浩太郎、秋田市土崎港出身の人である。
【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
参考資料: バッタに人生を捧げます!!
番外編 ;前野ウルド浩太郎(22)
◇◆ 天災レベルに大発生する害虫を愛する男が行き着いた"ある場所" ◆◇
相棒は「音速の貴公子」 / 1_研究所ナンバーワンの腕前
「あそこの砂丘を車で越えた初めてのモーリタニア人、俺だぜ」
そう武勇伝を語るのは私の専属ドライバーのティジャニ(通称:音速の貴公子、37歳男性)。サハラ砂漠には砂丘や堅い地面などいろんな地帯があるが、車で砂丘を走行することは避けねばならない。なぜなら、砂にタイヤがはまるとリアル蟻地獄を味わう羽目になるからだ。
しかし、1998年、サバクトビバッタが大量発生していると考えられるエリアを突き止めるためにどうしても砂丘エリアを越えて行かなければならなかったとき、研究所で自称ナンバー1ドライバーのティジャニが運転手に抜擢された。彼はそのミッションを成功させ、バッタ大量発生の現場を突き当てていた。ティジャニは私のフィールド調査に欠かせない相棒なのだ。
日本から来た大切な研究者に万が一のことがあったら大変だということで、私が今、籍を置くここモーリタニア国立サバクトビバッタ研究所のババ所長がティジャニを推薦してくれた。出会った当初、私とティジャニは共通言語をもっていなかった。ティジャニはフランス語とアラビア語を話すが、あいにく私はどちらも話せなかった。モーリタニアの公用語はアラビア語だが、1960年の独立までフランスの植民地だったので、今でもフランス語が事実上の公用語となっている。
今、私とティジャニは、片言のフランス語を使って会話をしているが、実はこの世で二人にしか理解できない言語になっている。ティジャニとは意思の疎通ができるが、他の人たちとはほとんどできない。近代社会の片隅で、どうやってこんな新言語が誕生してしまったのか。それは、私の怠慢とティジャニの欲望が生み出したためなのだ。
相棒は「音速の貴公子」 / 2_人を雇うとはどういうことか
2011年、日本学術振興会から海外特別研究員として支給された1年間の軍資金は、私の給料と研究費込みで総額380万円。軍資金をどう使うかは個人采配に委ねられ、極論を言えば研究に使わなかったらそのままふところに残る。そんなこざかしい真似はせずに、研究のためには惜しまずに使っていこうと最初から決めていた。そのほうが早く就職につながるはずだと信じて。
これまでも日本学術振興会の特別研究員として支給された研究費を旅費や研究機材購入のために使ったことがあったが、モーリタニアに渡り、新しい使い方をすることになった。人件費だ。いずれ自分も自身の研究チームを率いてバッタ研究を進めていくことになるだろう。人を雇うということはどういうことか、今のうちに体験しようと考えていた。そこにババ所長からティジャニを推薦してもらったので、どんなことになるのか見極めようと期待していた。
初顔合わせのティジャニは、ジャケットで決めてきた。よほどババ所長から重要な任務として仰せつかっていたのだろう。言葉が通じないから挨拶が終わると無口になる二人。ティジャニが何やら私に伝えたいようだが、さっぱりわからない。英語が話せるティジャニの友達に通訳をお願いしたところ、ティジャニの月給の交渉をしたいようだ。その夜、さっそく友人宅で交渉をした。モーリタニアの給料の基準を知らなかったが、彼らが提示してきたのは月給3万円。モーリタニアでは日本のように目的地に辿り着くまで何回も曲がってくれるタクシーは高額で、一般市民は低額の直進タクシーを乗り継いで目的地まで辿り着く。
「ティジャニをドライバーとして雇ったら何回でも曲がれるからお得だし、一日中コータローの望む時に運転する」とのこと。日本で大人を雇うことを考えたら安いと思いOKを出した。今考えるとババ所長や研究所の人間を通じて交渉すると不利になるから友人に頼んだのだろう。この月給は研究所のドライバーたちの3倍だった。
数日後、泣きそうな顔でティジャニが研究所の敷地内にある私のゲストハウスに押しかけて来た。
相棒は「音速の貴公子」 / 3_ティジャニ解任の危機
何やら一大事なので、友人に電話で通訳してもらったところ、ティジャニに専任ドライバー解任の危機が迫っていることがわかった。ティジャニが「コータローの給料が良い」と研究所で自慢したところ、「オレも雇ってくれ」と研究所のドライバーたちが人事マネージャーに殺到。マネージャーと一番仲の良いドライバーがティジャニの代わりに私の専任ドライバーに就任しようとしていた。
このときはまだティジャニがどんな人材なのか判断材料が乏しかったが、給料の額を決める前に外人(←つまり私)のドライバーを務めるとティジャニは決めていた。この男気と私と働きたがってくれることに感動し、最高責任者であるババ所長にお願いしてティジャニがそのまま私のドライバーを続けることになった。男気とか感動ということばは、安易に使うべきではないということを、私はこのあと知ることになる。
よほど嬉しかったのだろう、次の日、ティジャニが満面の笑みでモーリタニアの民族衣装を私にプレゼントしてくれた。この一件で、二人の間には、自分たちで理解し合わなければならないという意識が芽生えた。これからもトラブルは起こるだろうが、そのたびに通訳に頼むのは面倒くさい。電子辞書片手にティジャニと常に一緒に過ごすうちに、何を伝えたいのかお互いにわかるようになってきた。
ティジャニと私をつないでいるものは「金」である。ティジャニのマイカーが故障したり、家が火事になったときには見舞金も包む。自分が支払える最大限の工面をし、生活には十分足りていると思っているのだが、さらにせびってくる。
彼のやり口はこうだ。「車の修理に多額の金がかかるんだよなぁ」「入院費用に多額の金がかかるんだよなぁ」。なぜ私に言ってくるのか。それは私がお金を援助するのを知っているからだ。一度援助金をあげてしまったのに味をしめ、ほぼ毎月、何かしらの金を2,3万円渡すことになってしまった。軍資金380万円の資金のうち、月給3万円に加え、2,3万円の出費は痛い。裕福ではないため、切り詰めた生活を送っているので正直、辛い。
要求はエスカレートし、「家を建てて欲しい」「車を買って欲しい」。土台私には無理な話だ。先日も、ティジャニの身内が入院し、不幸があったので3万円ほど包んだ。自分の預金通帳は30万円をきっていた。3倍の給料をもらっているのに、なぜ頻繁にせがんでくるのか。最大の原因は「貯金」をしないからだ。持っているぶんだけ金をどんどん使っているようだ。彼は政府に認められていないガザラと呼ばれる土地に勝手に家を建てており、半年後に土地開発のため取り壊しが決まっているというのに、改築工事に多額の金を投資していたことがわかった。ティジャニは離婚し、前妻に家財道具や米や油などをことごとく持っていかれた。離婚1週間後、1週間お付き合いした女性といきなり結婚式をあげた。給料の4か月分を前借りしてすべて使ってしまった。
“相棒は「音速の貴公子」 / 4_「頭の上、疲れている」”に続く
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https://youtu.be/qACb76lizbE == Current situation of desert locust in Mauritania 2013 ==
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