ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年03月14日<ⰧⰊⰧ
★ バレンタインに続き、女子同士で「バレンタインでもらったから~」なんて言ってお互いチョコレートを交換するホワイトデー。かくして、この日は全国の男子校が白けたりする。
★ カール・マルクスが逝った日(1883年)。後には家族と『資本論』の読み取ることが難し過ぎるくらい下手っぴな文字で書かれた草稿が遺され、さすがの同志フリードリヒ・エンゲルスも草稿の解読には苦労したとかしないとか・・・・・
★ 川口市のアパートで熟睡していたブクロ派のトップが、早稲田界隈からやって来た連中に過激な方法で叩き起こされた挙句に永遠に就寝させられる(1975年)。
本日記載附録(ブログ)
「動物園」は福澤諭吉が『西洋事情』ではじめて使った言葉だ
英語は”Zoological Park”/“Zoological Garden”であり、 忠実に訳せば「動物学公園」
「横浜動物園ズーラシア」の 村田浩一園長は学者であり教育者である
【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
人はいかにして大切な価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか
村田浩一(09) ◇◆ 第5回 10年後は世界一の動物園に =1/2= ◆◇
よこはま動物園ズーラシアを通じて、村田さんが思い描く「動物園学」についてざっくり考えてきたつもりだ。「つもり」というのは、あまりにも広範囲で、考えようにも雲を掴むような部分があるからだ。
しかし、説明で一番腑に落ちたのは、農業には農学があり、畜産には畜産学がある、ということ。農業大学や農業大学校、畜産大学などが、実際にあるし、専門大学ではなくとも、農学部や畜産学部は多い。また、国や自治体の関連研究機関を含めると、農学・畜産学の層は分厚く、広い。
動物園に対する動物園学が、それに相当するなら、まず必要なのは、「動物園がどれだけ必要とされているか」という部分だ。
農業も、畜産も、大事な産業で、そのサポートをするための実学・応用科学としての農学や畜産学は、非常に重要だ。
では、動物園はどうか。動物園学という応用科学が、強い求心力をもって形成されるだけの動機はあるのだろうか。日々の「食」を支える産業に比べたらその部分が弱いのは当然として、動物園にはどれだけの魅力があるだろう。
「これは、結局、文化の成熟と発展の問題だと思うんです。動物園って、ずっと娯楽的な施設だと思われてきて、行政的には公園の一部でした。今は、指定管理制度で、自治体とは切り離されてその分、営業面、経営面だけを見てる動物園もあるだろうし。でもね、横浜って、動物園が娯楽以上のもの、もっと広くて深いものだと理解していくためにいろいろなものが揃っているし、議員さんも繁殖センターとか見てくれて凄い!と議会で言ってくれます。今の時点でも市民の理解があるんです。この前、アフリカのコンゴ民主共和国で、オカピを保護しているセンターが密猟団にやられて、そこにいたオカピが全部殺される事件があったんですけど、センター再建のための募金を市民によびかけたら200万円も集まったんです」
オカピはズーラシアの看板動物である。遠い異国のものとはいえ、それだけの絆を市民が感じるというのは心強い。 村田さんは、横浜、それもズーラシアを、市民に多様な意義を理解してもらえる動物園のモデルにしたいという。そして、横浜市という立地は「市民の意識が高く最適」だとも感じているのだそうだ。動物園を単なるレクリエーションをこえて、もっと広い意義のあるものとして社会に位置づける文化の成熟と発展を成し遂げられる、と。
ぼくは、村田さんの話のとっかかりとして、まずは、動物園学のキモの1つとして、飼育管理学的な側面を多くとりあげた。これは、いつ行っても当たり前のように健康な野生動物がいる動物園を維持するためには、氷山の水面下で様々な努力がされていて、それらは、今やサイエンスとして実証され、共有されるべきだ、という話が一番分かりやすいかと思ったからだ。
ここでは、もう一段進めてみよう。
例えば、獣舎のこと。
ぼくは、さきほどもでてきたオカピのバックヤードを見せていただくことができた。
これまで、様々な動物園のバックヤード、つまり「舞台裏」を見たことがあるのだが、正直、驚いた。広々としているのである。アメリカの動物園なら、こういうのもアリだが、日本でははじめて見た。
「うちのバックヤードって広いんですよ。普通の動物園って、ギチギチにつくるでしょう。たくさん動物を見せるため、バックヤードには小さなスペースと夜寝るだけの寝室くらいしかない。でも、うちの場合、サブスペース、サブパドックがあって、そこでも飼育繁殖ができる。表に出しているものだけでなく、別にストックを持ってるんですね。オカピは、展示するのは2頭なんだけど、バックヤードでは3頭飼ってる。それで、見えないところで繁殖計画を進めたり。さらに子どもが増えたときのためのスペースもつくってありますから」
楽しそうに語る村田さんは、みずから獣舎に入り、オカピと戯れていた。
「ほら、オカピってこんなに舌が長いんですよ。それと汗が、こんなふうに茶色い脂と一緒に出てくるんです。おもしろいですよね。無臭なんですけどね」と指にべっとりついた脂を見せてくれたりしつつ、なにやら平和な時間が過ぎたのだった。
ただ、考えるべきはそこから先。
オカピのバックヤードは、広くて、よく考えられている。
ただ、それは、サイエンスの域に達しているだろうか。野生のオカピの行動や繁殖生理を反映させた作りになっているだろうか。つまり獣舎や放飼場そのものが「動物園学」を踏まえて設計されているだろうか。もちろん、国外にある既存のオカピの飼育施設を充分に研究して作ってあるわけだが、とはいえ、ズーラシアとほかの施設の違いなどが学術的に研究され、よりよいオカピ舎のスタンダードを導き出す、というふうには進んでいない。これはひとえに、「オカピ舎のサイエンス」自体が、ニッチすぎて大きなニーズがないからだとも感じる。実際には、社会的な関心度の高いゴリラなどでは、飼育だけでなく、獣舎なども含めてトータルなスタンダードを見いだそうという動きが日本でもあるようだ。
・・・・・・明日に続く
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=よこはま動物園ズーラシア 前編 (神奈川県横浜市)=
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