○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○
◇◆ 第8回 つかの間の日本、そしてまた南極へ =1/2= ◇◆
1カ月半にわたる南極アンターセー湖調査を終えた私は、クリスマス前に日本に帰り、慌ただしい日々を過ごしていた。 溜まっていた書類の処理、早稲田大学から国立極地研究所への研究室の引っ越し、次の南極調査へ向けての準備など、とにかく休む時間がない状況だった。
次の南極への出発は2015年1月6日。私が日本で過ごす時間はたったの2週間しかない。 もはや日本と南極のどちらの世界が日常なのか区別がつかない状態になっていた。 南極からケープタウンに到着し、飛行機イリューシンから降りた時に吹いていた暖かい風があまりにも非日常的に感じられたことをよく覚えている。
帰国後はバタバタとしてあまり南極の余韻を感じることもなかったのだが、右手親指の付け根に残る後遺症がふとした時にアンターセー湖でのことを思い出させた。 あのスノーモービル旅行の後遺症で、筋肉疲労による痛みではなく、恐らく振動が原因で神経にダメージがあったのだろう。 普段はなんともないのだが、たまに変な痺れを感じるのと、ある決まった動きをするとそこが痛むのだ。 神経なので、治癒するには半年くらいかかると思うよ、と知り合いに言われた。
次の南極調査の目的地は、南極半島エリアにあるリビングストン島(Livingston Island)のバイヤーズ半島(Byers Peninsula)と呼ばれる場所。 南極半島の先にはサウスシェトランド諸島と呼ばれる島々があり、一番大きな島がキングジョージ島、次に大きいのがリビングストン島である。 リビングストン島にはスペインの南極基地であるファンカルロスI世基地があって、今回はスペインのバイヤーズ半島キャンプ隊に参加する。
南極半島周辺は、気候の厳しい「大陸性南極」ではなくて、より温暖な「海洋性南極」に属する。 今回訪れるバイヤーズ半島は南極特別保護区(ASPA:Antarctic Specially Protected Area)に指定されているため、普通は許可無しでは立ち入れない。 それはつまり、生物の豊かな場所であることを意味する。
ついこの前まで私がいたアンターセー湖に比べると、いつも調査をしている昭和基地周辺の湖はもうちょっと生物が豊かだ。 アンターセー湖はシアノバクテリアの世界であるのに対し、昭和基地周辺の湖はシアノバクテリア+藻類+一部コケの世界。 ところが南極半島ともなると、湖の中には動物(と言っても小さなプランクトンや昆虫)がいるらしいのだ。 そこは南極であるにもかかわらず、湖はシアノバクテリア+藻類+コケ+動物プランクトン+ユスリカという世界になっているらしい。
そんなわけでこれから、この3つの生態系のうちもっとも生物相が豊かな、南極半島の調査に行くのだ。
もともと、何もこうやって1シーズンに2回も南極に行くつもりなどなかったのだが、色んな事柄が重なり絡み合ってどうにもこうにもこうなってしまった。 実は、スペイン隊への参加は昨年度の予定だった。 けれど、スペインの国の財政状況が悪化した影響で、バイヤーズ半島キャンプ隊の南極行は出発直前だった2013年の秋になって取りやめとなった。
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・・・・・ 南極点到達競争 =壮絶な英国隊・スコットの遭難= ・・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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