2050年までに、サッカー世界チャンピオンチームに勝てる人型ロボットチームを作ろう!
小説『銀河のワールドカップ』のモチーフにもなったそのシミュレーションリーグ
1997年にスタートした「ロボカップ」大会、「チーム・ヘリオス」が完全優勝を果たした
ロボカップ サッカーシミュレーションリーグ 秋山英久・中島智晴
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文・写真・動画=川端裕人 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 秋山英久&中島智晴(03) / 第2回 見事なグループ戦術の意外な舞台裏=1/2= ◆◇
ロボカップ2012メキシコシティ大会のシミュレーションリーグに参加したのは、日本、中国、ドイツ、イギリス、イラン、ブラジル、ポルトガル、トルコ、オーストラリア……ぼくがぱっと見ただけでもかなりの国数にのぼった。実機を使わずに済むコンピュータシミュレーションのみのリーグなので、毎年参加するチームの数は多い。そんな中、チーム・ヘリオスは、2010年と2012年に優勝、2009年と2011年に準優勝と輝かしい戦績を残している。
チームの起源は、現在、福岡大学助教の秋山英久さんが、まだ東京工業大学の修士学生だった1999年に遡る。
「修論のテーマを決めなければならなかったんですけれど、そのときの指導教官に、マルチエージェントの研究がやりたいと相談したんですね。すると、ロボカップのシミュレーションリーグというのがあるよと紹介されたのがきっかけです。どうせなら、出場して世界大会に行ってこいと。それで、2000年のメルボルン大会のとき、右も左もわからない状況だったんですけど、とにかく出られたというのが最初でした」
さて、ここで出てきたマルチエージェント、とは何だろう。エージェントというと「代理人」という訳語が思い浮かぶが、ここではコンピュータ・サイエンス、特に人工知能研究で使われる言葉で、「自律性を持った行動主体」というのがそぐう。ロボカップのシミュレーションリーグの場合、個々の選手が「エージェント」だ。それらの選手たちが、共通の目標「失点を防ぎ、得点して勝利する」に向けて自律的に協働するからマルチエージェント、ということになる。
「サッカーって、全体を神の視点で見られると解決できることが多いんですよね。ビデオゲームのサッカーは、ひとつのプログラムが全体を見ていて、すべてのプレイヤーを動かしてます。ところがマルチエージェントというのは、個々のエージェント、つまり選手が自分で考えて行動していくので、神の視点はないんですね。その分、現実のサッカーに近いんです」
「サッカーって、全体を神の視点で見られると解決できることが多いんですよね。ビデオゲームのサッカーは、ひとつのプログラムが全体を見ていて、すべてのプレイヤーを動かしてます。ところがマルチエージェントというのは、個々のエージェント、つまり選手が自分で考えて行動していくので、神の視点はないんですね。その分、現実のサッカーに近いんです」
シミュレーションリーグの競技場は「コンピュータの中」にある。rcssserver(ロボカップサッカーシミュレーションサーバ)というサーバプログラムが、その空間を提供している。各エージェントは、独自にサーバプログラムから情報をもらい、自分のプレイを決定する。
前回紹介したメキシコシティ大会での決勝の動画(https://youtu.be/mKflWij246I?list=RDCMUCLG4GhUwi3kzjxyzRbndyNA)を、もう一度、確認してみて欲しい。小さな円として表現されている各選手は、ぐるぐる回転しては、周囲の状況を見ていた。人間だと首振りに相当することだ。サーバプログラムは、選手がいる地点から見えるものを、視線の方向や視野の広さに応じて、人間の知覚情報に近い形で与える。具体的に言えば、遠くにいる選手の背番号をわざと分からなくしたり、位置情報をぼやかしたりして、人間の見え方に近づけているそうだ。
各プレイヤーは、いわゆる「神の視点」とは違うピッチレベルの知覚情報をもとに、どういう場合にどういうプレイをすればいいのか、基本的な個人戦術を持っている。それがプログラムとして書かれている。実機のロボットを使ったリーグでは、今のところせいぜい5対5で試合をするのがやっとなのに(人型ではない小型・中型リーグ)、11対11の「サッカー」が見事に表現されている。
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料: 国際ロボカップ大会 (3/6) □■
ヒューマノイドリーグ /
2002年の世界大会から正式種目となった完全に独立した人型ロボットで戦う。各リーグの困難な部分を集めて、それだけでも困難な歩行ロボットに実行させる最も過酷なリーグ。2050年の目標へ向かうリーグであるが、技術的にまだ黎明期であり、各チームのロボットの状態に合わせて毎年出来る競技・ルールを作成している状態。身長60cm以下のキッズサイズリーグ、身長100cm以上のティーンサイズリーグ、身長130cm以上のアダルトサイズリーグに分かれる。一般的に小さいサイズの方がより高度な動きが出来る。
概ねの水準は以下の通り。各年の最優秀のロボットは以下の例より優れている。
2002年: 歩けないのが普通。特に優秀だと歩いてボールを蹴れる。多くが外部システムや電源に頼る。 2003年: 優秀なロボットは歩く。特に優秀だとボールを蹴れる。 2004年: 優秀なロボットはボールを蹴れる。特に優秀だとボールを見つけて蹴れる。 2005年: 優秀なロボットはボールを見つけて蹴れる。特に優秀だと状況判断で機動する。 2006年: 2対2のゲームが成立し始める。 2008年: 試合形式が3対3になる。専任のゴールキーパーを置くようになる。ロボカップレスキュー / 1995年の阪神大震災の経験から始まった競技。
ロボカップレスキュー・シミュレーションリーグ /
ロボカップジャパンオープン2001(福岡、2001年4月)およびロボフェスタ関西2001(大阪、2001年7月)を経て、2001年の世界大会から加わった。コンピュータ上の市街地の地図上に家屋、人、自動車、道路…あらゆる人、物、事象をシミュレーションし、大規模災害の対応を研究するリーグ。地球シミュレーターであらゆる地球環境・気象を研究するように、災害のあらゆる事象を研究する。具体的には、震災発生後、火災延焼などが進行するシミュレータプログラムが用意され、競技参加チームは救助隊・消防隊・警察隊・市民など個々に対応するエージェントと呼ばれるプログラムを作成することにより災害軽減化を目指す。競技開始前に被災地の状態は与えられていないので、各エージェントプログラムは自ら情報収集を行い、消火、舗装、救助活動を自らの判断で行う。競技の実況は2次元マップ、3次元マップ上に表示され、シミュレータ内で起こっている事象を実況中継するプログラムなどにより競技の様子を知る事ができる。学生がシミュレーションで見つけた消火の最適解を消防士に話したら消防のマニュアル通りだったというエピソードがある。地理情報システム(GIS)に含まれる建物には、建築年代、建築様式のみならず家族構成などの情報も含まれている。 ・・・・・・明日に続く
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◆ ロボカップ2017名古屋世界大会 ロボカップサッカー ◆
動画のURL: https://youtu.be/ZOebtgsHVBU
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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