DNAを分析すると 生物の進化の歴史を辿れる 人間でも同じこと
人間の細胞にある「ミトコンドリアDNA」というモノを扱って
ミイラや古い人骨などからそのルーツを解明、「人間とは何か」を問う
国立科学博物館人類研究部研究グループ長 / 篠田 謙一
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美、& イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 篠田謙一(第三回) / インカ帝国の神話をミイラで証明! =1/2= ◆◇
篠田さんの国立科学博物館での立場は、「人類史研究グループ長」だ。
書いて字のごとく、人類の歴史を研究している。
方法は、ミトコンドリアDNAの解析(後で少しだけ詳しく述べる)。つまり遺伝子の研究で、我々、人類がどういう来歴を辿ってきたのか、もっとローカルには「日本人」がどういう道筋で形成されたのかをテーマにしてきた。
アンデスのミイラとは、どのように出会い、どんな調査研究をしてきたのだろう。
話は1998年にさかのぼる。
「まだ国立科学博物館に来る前だったんですが、当時の博物館の先生と一緒に研究をしていたんですね。アンデスの展覧会をやるのでDNAの分析もしたいと言われて、OKしたのが最初でした。じゃあ、歯を送ってください、と頼んだら、かわりに送られてきたのが、航空券だったと(笑)。最初、アンデスに行くつもりもなかったんですけど、まあ、しょうがないかと。しかし、何も分からないんで、成田空港で『地球の歩き方』を買ったくらいです。で、実際に行ってみますと、1回で終わるつもりが、全然終われなくて。そのうち、こちらに転勤になったので、ますます本格的にやるようになったという流れですね
篠田さんが最初に調査したのは、ペルー北部のシカンの遺跡だ。インカに多くの技術的な資産を残した文明として知られ、「黄金国家」の異名を持つ。この魅惑的なキャッチフレーズで、国立科学博物館でも特別展が開かれたことがある。南イリノイ大学の島田泉教授が中心となった執念の発掘エピソードは考古学の魅力を伝えてあまりあるのだが、また別の話。
ちなみに、篠田さんが「歯を送ってください」と最初に述べたのは、篠田さんがDNAの分析をするのに一番よく使っているのが「歯」だからだ。
「理由は……簡単に抜けるから(笑)。骨でやろうとすると、ノコギリで切ってすごく大変なんです。例えば歯を100個取ろうと思ったら、3日もあれば充分なんですが、骨だとただ事じゃない時間と手間がかかってしまう。あと、歯の場合、表面の汚れを塩酸で全部洗って、内側からサンプルを取れるので、非常にハンドリングが楽なんですよね。もっとも、歯の形態などを見たい研究者にはすごい評判悪いんですけど」
篠田さんから、抜き取った歯のレプリカを見せてもらった。DNAを分析するために破壊してしまうため、歯科医が使うレジンで複製を作って、のちのち他の研究者が参照できるようにしているのだという。貴重な人骨やミイラは、様々な分野の研究者が、独自の観点で調べたいと思っているわけで、このような配慮が必要になる。
「歯は、おおむねカルシウムのアパタイト(リン酸カルシウム)ですから、それを落としてやって、さらに、たんぱく質を落としてやって、最後に残るのがDNAっていうふうに、DNA溶液を抽出しますよね。私が分析してるのはミトコンドリアDNAなので、ミトコンドリアDNAを増幅するよう、PCRにかけて見る、と。もちろん、将来的には核DNAも一緒に分析することを考えてます」
・・・・・・明日に続く・・・・・・
◇ 【日本のルーツ】最新:DNAから見る日本人のルーツを知る ◇
・・・https://youtu.be/V0xMtR71oHA・・・
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//////参考資料///////
■□ 参考資料: 篠田謙一さんが語る、ミトコンドリアDNAでたどる人類の起源(5/5) □■
『日本人のルーツ』 と書くと、もっと狭い意味で日本人が特別な集団であるかのように取る人がけっこういるんですよ。でもそうではなくて、日本人というものは南アジア、ヒマラヤ山脈の北ルートなど、さまざまな経路を経て東アジアに成立したことがわかりました。
さらに遺伝子にはシャッフル(交配)による多様性のシステムがあり、それをたどれば私たちみんなの共通祖先がアフリカにいることもわかる。人類みんなのDNAはつながっているのだと私は言いたかったんです」
現生人類が世界中に散らばって、アメリカ大陸の南端にたどりついたのが約1万2000年前のこと。コロンブスが新大陸を「発見」したのは1492年ですから、彼がなしえたのは、人類拡散の最初の旅がすでに1万年以上も前に終わっていたことの確認でしかありませんでした。
こうした人類拡散はあらためていうまでもなく、国や民族といった概念が生まれるずっと以前に起こったことです。私たちが「日本人のルーツ」という部分にこだわってしまうのも、祖先の人たちからしてみればおかしな話なのかもしれません。
「タイムスパンの取り方が学問によって違うなということも感じますよね。
例えば、大化改新のころや、奈良時代の研究をやっている人たちからしてみれば『縄文人は日本人ではない』という感覚なんです。それはそうなんですよ。日本なんてものはそのころありませんでしたからね。『国民』というもののとらえ方だって、私はほかの人とずいぶんちがうと思いますよ。今フランス人といったって黒人もたくさんいるわけでしょう。これは文化的な絡みあいから生まれてきたものです。
もっと長いタイムスパンでものごとを考えてみましょうよ。日本だって新しい人たちが入ってきて、それを受け入れてここまできたわけです。人類学者は客観的にものごとを見ていますが、世の中にはそういう視点もまた必要でしょう」
人はどこから来て、どこへ行くのか?
私たちの旅はこれからも続いていきます。 (土田朋水) Photo:高松英昭
篠田謙一(しのだ・けんいち)
1955年生まれ。分子人類学者。日本や周辺諸国の古人骨DNA解析を進めて、日本人のルーツを探る。著書に『日本人になった祖先たち』(NHKブックス)。国立科学博物館人類第一研究室長。
明日に続く・・・・・
日本人のルーツをさぐる旅1 ◆・・https://youtu.be/_5aGfj6qnOM・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
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