〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第6話 JAMSTECの拳―天帝編― ᴂ
◇◆ 無我夢中のどん欲無節操ゴロツキ研究集団 =2/2= ◆◇
ボク達の「ひとりアーキアンパーク計画」の怒濤の進撃が始まった。さらにボク達、JAMSTEC地下生命圏研究グループのメンバーは、前記に挙げたような深海熱水域の海底下環境の調査だけではなくて、深海冷湧水環境や海底下堆積物(その他のJAMSTEC深海潜航調査航海やペルー沖、カスカディア沖のODP掘削航海)、陸上地下生命圏(南アフリカ金鉱や日本国内の鉱山、温泉環境)などの多様な地下生命圏研究にも手を出していた。
今振り返ってみると、ホントに目の前の動くものには何でも食らいつくどん欲なサメの群れみたいな節操のない研究グループだったと思わずにいられない。
でもそれは当たり前の話だった。掘越先生がボクに言ったように、ボク達は「誰もやったことのない新しい研究分野を切り開くんだ」という野望に突き動かされていたんだ。ボク達が誇れるのはその大志と情熱だけで、世界からみれば「東洋の島国の名もなき若いゴロツキ研究集団」でしかなかったはずだ。ボク達は、世界のこの研究分野のナニモノカになるために、ホントに一生懸命で無我夢中だったんだ。
そして、最初は数人だったボク達の研究グループは、いつの間にか10人近い所帯になっていた。気がつけば、ボクは30歳を少し超えたばかりなのに最年長のグループリーダーのようなモノになっていた。そのポジションは管理職というようなモノではなく、チームを鼓舞する「キャプテン」みたいな感じだったけれども。
そんな「魂だけのキャプテン」として、とにかくガムシャラにナニカに突き動かされていたような研究生活は今振り返ると、とてもキラキラと輝いていた日々だったように思う。それはまさに、ボクの青春を深海に賭けた日々―第二楽章―と言えるモノだった。
それで「ひとりvs宗家」の闘いの行方はどうなったか?
その詳細はいずれ「修羅の刻(外伝):最後に生き残った奴が勝者よ! ~ダブルエージェント黒メガネの回想」(民明書房)で語られることになろう。一言で言うなら「勝負を決めるのは才能でも能力でもない。背負ってるモノの大きさ、つまり覚悟だ。アンタ、背中が煤けているぜ・・・」(なんのこっちゃ)と。
しかし「アーキアンパーク計画」の存在が、アメリカ帰りのボクが取り憑かれたように深海熱水研究に打ち込む、とても大きな刺激と動機になったことは間違いなかった。
それと深海熱水活動と生命活動の相互作用の本質を理解するためには、(微)生物学的研究だけでなく、地質学、地球物理学、地球化学といったあらゆる側面からアプローチする総合的な学際研究の不可欠であることを提示し、世界に先駆けてその実践に挑んだのは「アーキアンパーク計画」だった。
その「アーキアンパーク計画」の精神と意志は、当事者たる内部の研究者達よりもむしろ競争相手であるボクの方が遥かに強く影響を受けたかもしれない。また実際にこの計画に参加した大学院生やポスドク研究者から、多くの優秀な若手研究者が育ち、今もそれぞれの研究分野で活躍中である。これこそが「アーキアンパーク計画」の最大の成果であったと言えるだろう。
そして「アーキアンパーク計画」との競争を意識して始まったボクの深海熱水研究の第二楽章は、その後「約40億年前の地球最古の生態系の誕生とそれを支えた熱水環境」と「世界深海熱水征服計画」という次なる研究目標に繋がって行った。
その深海熱水研究第三楽章の科学物語や背景については、ボクの書いた「生命はなぜ生まれたのか 地球生物の起源の謎に迫る」(幻冬舎新書)に詳しいのだ。その部分はこの連載では省略するので、ぜひそちらをお楽しみ下さい。
そして次はいきなり、もう「青春」の賞味期限が切れかけたボクが「ギリギリ青春と呼べるモノ」を深海だけでなく太古の地球や、どうやら宇宙にまで賭けようとする最終章に突入するのだ。さあ、ゴールが見えてきたぜ。
= しんかい6500パイロットチーム <私はこうしてパイロットになりました> 3/6 =
もう一人のコパイロット、池田瞳さんにも伺います。深海に興味を持ったきっかけは何ですか?
「イカが好きで」 イカが好き? それはきっと、取材陣が、スーパーの鮮魚売り場で思うこととは、ちょっと違いますよね?
「中学、高校生の頃、ダイオウイカに会いたいと思っていました」 おお、ダイオウイカ。大きなものは20メートルを超えると言われながら、目撃情報がほとんどなかった巨大イカ。
先日、NHKスペシャルで放送されていました。初めて、その姿を動画で撮影したと。 「そうなんです。なので、先を越されたね、と周りからずいぶん言われました」
ダイオウイカに会いたくて
ダイオウイカに会いたいという思いから、ここまで、どんな道を歩んできたんですか。 「日本でダイオウイカの研究ができるところは、その番組にも出ていた、国立科学博物館の窪寺恒己先生のところくらいしかないんです」
狭き門、というわけですね。
「でも、研究者になるのは無理でも、深海に潜る有人船を操縦する人になれば、ダイオウイカに会えるかも知れないと思っていました」
ただ、それまでに、日本に女性の深海調査船パイロットはいない。 大学では、スルメイカの飼育実験などを行った。 「ダイオウイカに比べると小さくても、いっか、と(笑)。スルメイカと過ごす実験は十分に楽しく、幸せな大学時代でした」
その頃にはもちろん、JAMSTECのことは知っていて、しんかい6500に乗るのは、研究者はひとりでも、パイロットはふたりとも知っていた。 JAMSTECの広報誌『Blue Earth』も読んでいた。
「そのなかで、当時のJAMSTECの海洋工学センター長が『これからは女性パイロットがいてもいい』というようなことを書いていたんです。それを読んで、まだ女性パイロットがいないからこそ、機械や電気を勉強してきたわけでもない、不適任な私でも『本当になれるかも』と思いました」
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 : 「ちきゅう号」の役割と今後の予定
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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