その最期の言葉は、死刑執行人・サンソン医師の足を踏んでしまった際に
○◎ “ごめんなさいね、わざとではありませんのよ。 でも靴が汚れなくてよかった” ◎○
◇◆ 蜂起コミューンと蜂起(8月10日事件)・・・・・ ◆◇
1791年8月10日朝、連盟兵とさらにはそれに付き従う民衆の総勢2万はくだらない大集団は、テュイルリー宮殿へ向かった。 宮殿はパリのど真ん中にある。 銃は1万挺ほどしかなく、残りは槍などで武装していた。 血気にはやった連中がいまにも攻撃を始めようと、王門の扉や冊を叩いていた。 これらの中に革命的女性のごとき過激分子も含まれていた。 ルイ16世はどうすべきか決心がつかなかった。 年老いたマイイ元帥は「アンリ4世=ブルボン朝初代のフランス国王 =の子孫のために勝ち抜くか、さもなくば死を誓う」と跪いて言った。
万事休すと思ったパリ県の監察官ピエール=ルイ・レドレールもともとは高等法院判事で立憲議員だった。 この時は立憲君主派で、後にはテルミドール派となる政治家は、立法議会に国王が逃げ込む以外に方法はないと説得を始めた。 マリー・アントワネットは反対した。 彼女は王と王妃を引き離す陰謀があることを知っていた。 立憲君主派にとって最大の障害は、迫り来る群衆ではなく、王妃マリー・アントワネットであった。
しかし、ルイ16世は家族全員で一緒に避難することを望んだ。 王妃は側近のランバク侯爵夫人(前節イラスト参照)とトゥルゼール公爵夫人も連れて行くように主張した。 残されることになった他の貴婦人たちは絶望して震え上がった。 しかし王妃は暴徒の群れに負けるはずがないと思っていたようで「戻ってくる」と言い残して去っていった。 議会とは庭園で隔てられているだけで、そう遠くではない。
国王一家が宮殿を去ると少なからず動揺が走った。 市民同士で殺し合いたくないと思った守備側の国民衛兵隊は次々と脱走して蜂起側の方に寝返ったり、群衆と歓談して敵意のないことを示そうとした。 このとき彼らは全ての大砲をも引き渡した。 流血は回避されるかと思われた。 しかし王党派の貴族の一部は死ぬまで戦う覚悟であり、この期に議会をも制圧しようという魂胆があった。 彼らは王門を門番に開かせ、群衆をカルーゼル広場に敢えて招き入れた。 広場は建造物に囲まれ、十字砲火で包囲殲滅するのには好都合だったからだ。
午前8時、2,000〜3,000の群衆がカルーゼル広場からさらに中庭まで無秩序に入って来た。 スイス人傭兵らはあくまでも命令に忠実たらんとし、宮殿の外階段に不動の隊列を敷いて待ち構え、群衆の嘲笑や罵声にもピクリともしなかった。 どのような切っ掛けかは諸説あるが、号令とともにスイス人傭兵は一斉射撃を数度行い、怯んだ群衆を一気に突撃で崩した。 建物の二階や屋上からも銃撃が加えられた。 最初に入ってきた連中は全く戦い方を知らなかったので、包囲されてパニックを起こして潰走した。
この間に蜂起側の第二波が接近していた。 今度は、王門からではなく、ルーヴル宮殿や庭園にあるセーヌ川側の複数の入口、小門から侵入した。 彼らの先頭に立ったマルセイユ連盟兵は従軍経験のある古参兵ばかりだった。 サン=タントワーヌの熱烈な共和主義者達がその後に続いて、大砲を牽いていた。 スイス人傭兵は突撃後の散開状態で、カルーゼル広場で突然砲撃を受けたため、中庭に退却した。 マルセイユ連盟兵らは突撃を開始し、さらに後続のサン・キュロット群衆が広場を埋め尽くした。 中庭ではスイス人傭兵は横隊を組んで再び激しく防戦した。 連盟兵にも大きな犠牲がでたが、あらゆる方向から侵入する群衆にスイス人傭兵は抗しきれなくなり、そこに4ポンド砲での近距離射撃と擲弾を受けた。 たまらず宮殿内に退き、そこからは大混乱になった。
スイス人傭兵は、国王に士官を派遣してどこまで徹底抗戦すべきか伺いを立てた。 ルイ16世は宮殿が制圧され、すべての望みが無くなった後で、午前10時、発砲の停止を命令した。 しかしこれでは哀れなスイス人たちを虐殺から救うことはできなかった。 600名が殺され、うち60名は降伏した後の殺害であった。 残りのほとんども捕虜となり監獄に放り込まれた後に殺害されることになる。 一方で、聖ルイ騎士団の貴族子弟たちはルーヴルの別の回廊からほとんど全員が脱出した。
宮殿では勝ち誇った群衆が手当たり次第に家具や絵画などを壊していたが、蛮行を見かねた舞台監督サンジエは、機転を利かせて、すでに有名になっていた「ラ・マルセイエーズ」を弾いて、怒り狂った人々の心を宴会ムードに変えた。 彼らは一晩中、歌い踊り明かした。 残された貴婦人たちは散々罵られて脅かされ、怖い目にあったが、暴力的被害は受けることなく解放された。 彼女たちに最も辛く当たったのは十月行進の時と同じく、同性の革命的女性であった。
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