〇◎ 未知の世界へ飛び込んでいく関野吉晴 ◎〇
= ほぼ日刊イトイ新聞_2013-03-22-FRI “【グレートジャニー人類の旅】展開催時の対談”より転載・補講 =
☠ “人類の旅”に魅せられた関野の探求心はどこから来たのか ☠◇◆ 太古の人々の感覚に近づくために =3/3= ◆◇
糸井重里; 南米の最南端から‥‥。
関野吉晴; アメリカ大陸を北上してアラスカ、ベーリング海峡を渡り、シベリアに入って、モンゴル、ちょっとチベットのほうに寄り道をしてからシルクロード、中東、そしてアフリカ。
糸井重里; ゴールは?
関野吉晴; アフリカのタンザニアに360万年前の人類の足跡があるんです。 「ラエトリの足跡」というんですが。
糸井重里; そこを目指して。
関野吉晴; いろんなゴールが、想定できました。 最古の人類の骨が発見されたところでもよかったし、南アフリカの最先端まで行くことだって当然できた。 でも、なぜここをゴールにしたかというと、「ラエトリの足跡」が「三人家族」による、「二足歩行」の足跡だったから、なんです。
糸井重里; というと?
関野吉晴; 人類とサルの違いのうち、とくに重要なのが「二足歩行」と「家族という単位を作っている」
ことなので。
糸井重里; そうか、なるほど。 人類とサルを隔てるうえでもっとも象徴的な場所を目指した‥‥と。
関野吉晴; はい。
糸井重里; そして、その、果てしないような道のりを近代的な動力を使わず、徒歩や自転車などで踏破されたんですよね。
関野吉晴; ええ。 大昔の人たちが経験した「旅」を、できるだけ、自分の身体で感じてみたくて、「自分の腕力と脚力だけで やりとげる」と、ルールを決めたんです。
糸井重里; 自動車なんかは、ダメ。
関野吉晴; 使っていいことにしたのは、自転車やカヤック。 動物についてはトナカイや犬、馬、ラクダなどを使ってもいいんだけれど、「扱い方」をきちんと学んで、「彼らを括れる」ようにならないとダメ。
糸井重里; はー‥‥。
関野吉晴; そういうルールで、旅をしました。
糸井重里; そうすることで‥‥。
関野吉晴; ちょっとだけ、太古の人の感覚に近づくことができる。
糸井重里; なるほど。
関野吉晴; 彼らが見たはずの景色を見たかったり、彼らが吸っていた空気を吸い込んだり、したかったんです。
=〝グレートジャニー“地球を歩いて気付いたこと / 講演会(2015-05-19-TUE)より=
弱いから、遠くまでたどり着けた(4/5)
・・・・・・・「ほかを追い出された弱い人たちが結果的に、先端に到達した」ということだと思うんす。ラオスでも同じような例を知りました。 山の上で米を作る「モン族」という人たちがいます。 彼らは、暮らしやすい長江、揚子江から逃げて、追い出されてきた人々なんです。要するにども弱い人たちがだんだん突き出されて、そこに暮らすようになった、ということなんですね。
人が増えたり、よそから人がやってきたら、残るのは強い人で、弱い人が突き出されます。 弱い人はみんな、追い出されて新しい土地に行く。 突き出された人の中には、滅びる人もいっぱいいたはずです。 ただ、新しい土地が住み良い場所であれば人口が増えます。 でも、そのときはまた突き出される。 また人口が増えたら、また突き出る。 時代が新しくなればなるほど、そういうふうに弱い人が突き出される。 人々の拡散の歴史というのは、そういうことなのではないかと思いました。
また、弱い人が弱いままではなく、パイオニアになった人たちが新しい文化を作って、自分たちを追い出した人より強くなることがあります。 その典型がイギリスと日本です。 いいことか悪いことかは別にして、イギリスは世界を征服しようとしました。 日本はアジアを制覇しようとしました。
イギリスの人というのはこれ以上西に行けない島に追い込まれた人たちです。 日本はこれ以上東に行くならハワイまで行くしかないような場所です。 ぼくは日本という場所はほかの地域を追い出された弱い人たちが集まって、切磋琢磨して、いろんな新しい文化を作った場所なんだと思っています。 たとえば縄文というのはすごい文化ですが、これも、弱い人たちが素晴らしい文化を作った例だと思います。
・・・・・つづく・・・・・
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