☆ ギネス認定の記録であろう、ペルー中部でマグニチュード8.5の地震、約1万人が死亡(1746年)。 ☆ 船橋の競馬場にサラブレッドならぬオートバイが疾走(1950年)。これがオートレースの始まりだったりする。 ☆ 家庭用ビデオの規格としてUマチックが発表される(1969年)。だが、何時の間にかVHSとベータマックスの血で血を洗う戦争で忘れ去られてしまうことに。
◎ ◎ 創刊120年以上の“ナショジオ”が綴る【 そうだったのか! 】 =第 18回= ◎ ◎
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2012年2012年9月12日 / (Web編集部)
その創刊より、ご存じのとおり『ナショナル ジオグラフィック』は「地理知識の普及と向上」をめざす会員誌。ですから、『ライフ』とはそもそも写真の方向性は違っていたものの、戦後になると事情が変わりはじめます。アメリカがますます豊かになり、読者が自由に外国へ旅行できるようになると、『ライフ』にも外国やその首都、エキゾチックな民族などの写真が載りはじめたのです。
フォワードに同じタイプの選手は2人もいりません。それなら1トップで十分。『ライフ』と『ナショナル ジオグラフィック』が2トップとして存在するために、お互い差別化を図ったのは自然のなりゆきでした。
その流れのなかでギルバート・グロブナーがこだわったのが「カラー写真」です。 速報性が命の『ライフ』ではすぐに掲載できるモノクロ写真がメインでしたから、ナショジオがカラー写真に力を入れるのは道理。
しかし、真っ先にカラー写真に力を入れて、「カラー写真技術史上きわめて貴重な一連の記録」(『U.S.カメラ』誌の表彰状より)を掲載してきた『ナショナル ジオグラフィック』の圧倒的なリードをグロブナーは過信します。
『ライフ』が毎年、若手の登竜門となるコンテストを開催し、優勝者を雇い入れていったのに対し、ナショジオではコンテストを開催せず、それどころか専属のカメラマンが全国レベルのコンテストに参加することを禁止します。保守的ですよね。まったく。
また、グロブナーは写真自体にメッセージを込めることを嫌いました。「写真はあくまで本文の理解を助けるためのもの。とにかく本文の理解を助ける写真を撮れ」といつもカメラマンに言っていたそうです。写真自体がいちばんの商品である『ライフ』とは正反対。どちらが写真により価値を求めたかは言わずもがなでしょう。
こうしてナショジオでは、カラー写真を載せるにあたり、それが本来もっている「現実をありのままに伝えること」ではなく、「カラーであること」自体が目的となってゆきます。結果、赤シャツ写真が定番となった次第。
きっとグロブナーには誰も何も言えなかったのでしょう。50年祝典の5年後の1954年に、79歳でグロブナーが編集長を退任したときの部数は210万0009部。赤シャツ写真をメインにすえて、朝鮮戦争や冷戦や公民権運動などのタイムリーな記事は掲載しなかったのに、年に5万部以上は増加していましたから。
それでも、グロブナーの退任でやっと編集部が変わるのかと思いきや、次に編集長を任せられたのはグロブナーの右腕として長い間、副編集長を務めてきたジョン・オリバー・ラゴースでした。どうやら「これまでどうもありがとう」的なごほうび人事だったようですが、彼はグロブナーに輪を掛けて保守的なカタブツで、編集長を務めた1956年までの3年間にナショジオはますますコリ固まってしまいます。
おかげで彼の任期中の3年間で部数は5万3201部増えただけ。急に伸び率がガタッと落ちました。誌面を見れば減らなかったのが不思議なぐらい。もしかしたら時代がよかったのかもしれません。
1950年代の赤シャツ写真がナショジオの致命傷にならなかったのはある編集部員のおかげでした。
ギルバート・グロブナーの息子であるメルビル・ベル・グロブナーです。彼こそが写真の復権を果たし、次なる第二期黄金時代を築いて『ナショナル ジオグラフィック』を500万部以上の雑誌に押し上げるのです。
・・・・・・・・明日に続く・・・・・
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