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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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今日(狂)の狂言 : 10月24日(木曜日) &旅と文化の足跡が野帳

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★ 忘備忘却録/きょうの過去帳・狂 ★

☆ 神憑りにかかったチョンマゲつけたおっさんたちが熊本県で大暴れ(1876年=神風連の乱)、近代兵器に敵う訳もなく翌日には全滅。 ☆ 集団的な熱狂状態に陥ったウォール街が、突然の大暴落で一挙に現実に目覚めさせられる(1929年)。その後28日・29日と3連続のウルトラショックで一挙に世界大恐慌へ= 暗黒の木曜日=。 ☆ 日本国有鉄道が通勤ラッシュへの手っ取り早い対応策として、乗客を無理やり押し込む要員に学生アルバイト=押し屋=を投入(1955年)。

◎ ◎ 創刊120年以上の“ナショジオ”が綴る【 そうだったのか! 】 =第 16 回= ◎ ◎

1921-1956期 追考 « ナショジオが伝えた原子力時代の幕開け »  2/2 

……National Geographic Journal Japan 〉 ニュース〉 旅&文化〉 より……

2012年8月1日 / (Web編集部)

  46年7月号にビキニ環礁で暮らしていた住民の引っ越しのレポートを掲載しています。 タイトルは「さよならビキニ(Farewell to Bikini)」。最初と最後の段落を引用してみましょう。 「1946年2月の中頃のこと。マーシャル諸島のラリック列島にあるビキニ環礁の住民が、突然、現代文明に襲撃された」

「『さよなら』という言葉が交わされた。『また明日来るからね』と以前のように言えたらどんなにいいだろう、と私は願っていた。私は『さよなら』を繰り返した。だって、私だけでなく、おそらく彼らにとっても、もう二度とここに戻ることはないだろうから。文明と原子力時代がビキニにやってきた。そして、彼らは邪魔だったのだ」

レポートが発表された46年7月は、核実験が行われたまさにその月でした。

 その後、ソ連に先を越されることを恐れた米国は1952年11月に初の水爆実験に成功。  さらに7カ月後の53年6月号には「原子力に耐え忍ぶことをネバダは学ぶ(Nevada Learns to Live with the Atom)」というショッキングな体験レポート(!)が掲載されます。

 この公開核実験では、核兵器の開発と同時に、爆心地の近くの人や民間の建物などがどの程度被害を受けるかも試されました。ナショジオが支援したスタッフによる有名な動画もあるので、マネキンが置かれた車や家が吹き飛ぶ資料映像を見たことがある人もいるのではないでしょうか。

 筆者はサミュエル・W・マシューズです。幸か不幸か、彼はマスコミを代表する20人に選ばれ、なんと爆心地から約3kmしか離れていない塹壕のなかに隠れます。ネバダで以前に行われた実験のときの半分ほどしか距離がなく(6kmでも全然近いですけど)、報道陣は「ふるえる20人」とか「壊滅部隊」と呼ばれました。

「『認めたくねえけどよ』隣の人影が言った。『俺は怖いんだ……』  真うしろでサイレンがうなった。頭を下にして埃のなかにひざまずき、体をこわばらせると、 『爆発20秒前!』  深呼吸する。カウントダウンが始まった。

『10……9……8……7……6……5……4……3……2……1――』

 夜のように暗かった塹壕は一瞬のうちに目もくらむ真っ白い光に包まれた。まばたきすらできない。砂が飛んでいって、光の中に消えてしまった。頭のうしろから巨大なサーチライトで照らされたようだった」

「『立ち上がって見てもよろしい』  その声は耳鳴りの向こうからかすかに聞えてきた。  茶色い埃が濃霧のように砂漠を覆っていた。巨大な原子の火の玉が空に上がり、オレンジ色と黒の球体となって、黒い煤のなかで炎の舌が渦巻いていた」

爆心地から1kmしか離れていなかった家はこっぱみじんに砕けて砂に埋まり、爆発に面した部分が黒焦げの残骸だけがかろうじて確認できました。ソ連がシベリアで水爆の実験に成功したのは、それから2カ月ほどあとのことでした。

 その一方で、ネバダの核実験のレポートから半年後の54年1月号には特集「人類の新たなるしもべ、原子力はみんなの友だち(Man’s New Servant, the Friendly Atom)」が掲載されます。サブタイトルは「“飼いならされた”原子力は病と闘い、工場と農場を助け、産業にとって重要な新エネルギー源となるかもしれない(”Tamed” Atomic Energy Fight Disease, Help Factories and Farmers, and May Become an Important New Source of Industrial Power)」

 これは原子力発電所や原子力潜水艦をはじめ、放射線治療、放射性同位体による年代測定、しまいにはペットの犬の病気を治す治癒力があるという写真も載せて、平和利用のみに的を絞り、原子力の明るい未来を紹介する楽天的な記事でした。

 恐ろしい核実験をレポートしたかと思えば、ペットの犬の病気を治す記事もある。戦後10年間に掲載された主な原子力の記事はオッペンハイマーの言葉を見事に象徴しているようです。去年の福島の事故を見ても、広島、長崎から60年以上たったいまだに原子力をめぐる混迷は解決していません。同じくオッペンハイマーがいうように「世界はもう二度と元には戻れない」のだとしたら、私たちが原子力を飼いならす日はいつのことになるのでしょう。

次回は “ « トルストイとダライ・ラマとナショジオの意外な縁 » “ に続く・・・・・

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上部記載文中、文字色が異なる下線部位を右クリックにて“参考記事”を開示

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