◆ 豊臣秀頼が寄進して建造した寺の鐘に刻まれた文字をめぐって、徳川家康がクレーマーとなって火蓋を切る切っ掛けに(1614年)。 ◆ パリでダイアナ妃に田代まさしの神罰が下る(1997年)。この事故が関係したのか!!? 翌年のこの日、原宿の歩行者天国が廃止される。 ◆ “初音ミク”がメジャーデビューを飾る(2007年)。ファーストシングル『ネギ回し』の大ヒットで一躍注目に。ところがミクの日ではない。
◎ ◎ 第3回 野心家だった父(エドモンド)のコンプレックス ◎ ◎
- - -Webナショジオ Webナショジオ・インタビュー ピーター・ヒラリー / ンタビュー・文=高橋盛男/写真=澤圭太- - -
=エドモンド・ヒラリーが人類初のエベレスト登頂は1953年。それから60周年を迎え、その初登頂をテーマにしたドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・エッジ』が公開された。ヒラリーの子息で自身も登山家のピーター・ヒラリーさんの来日を機に、父の思い出や、今日のヒマラヤの現状などについて尋ねた。=
――6月28日から公開された映画『ビヨンド・ザ・エッジ~歴史を変えたエベレスト初登頂』は、エベレスト初登頂60周年を記念して制作されたドキュメンタリードラマ。ピーターさんの父親であるエドモンド・ヒラリーがエベレストに挑戦したときの様子が描かれています。ご覧になっていかがでしたか。
非常によくできた映画ですね。 何よりも、父の業績についてエベレスト初登頂にしぼったところがよかったと思います。遠征に行きつくまでの過程を描いたり、初登頂の歴史的な価値などを云々するのではなく、純粋に男たちがエベレストの山頂を目指して登っていくその行程を軸に、物語が組み上げられています。そのせいで、すごくリアリティのある映画になったと思います。
――ピーターさんもナレーションで出演し、父エドモンドさんについて語っています。息子ならではの父親観が描き出されていて、そこにもリアリティを感じました。
監督のリアン・プーリーさん、彼女はとても質問のうまい人なんですよ。映画のナレーションに生かせるように、答えを引き出してくれる。ですから、すごくやりやすかったですね。 再現映像では、実際にエベレストで撮ったシーンが多いですし、ほかにさまざまな過去の記録映像や、1953年に一緒に登頂した人々の証言も巧みに織り込まれています。
――映画を見てびっくりしたのは、エドモンドさんを演じた主演俳優、チャド・モフィットさんが本人にとてもよく似ていたことです。
本当にそっくり。チャドが衣装をつけた写真を見せたいからと監督に言われ、見せてもらったのですが、いやもうびっくりしました。 ただ、ちょっと不安に思ったのは、彼のほうが本物のエドモンド・ヒラリーとして、見る人に印象づけられるのではないかと。そう心配になるくらい、彼は父に似ています。そこも、この映画の見どころのひとつかもしれません。
――映画のなかでピーターさんは「父は完璧主義で複雑な側面を持った人物だ」と語っていますね。
父は野心家でした。 そういう人の常で、精神面には複雑なところがありました。 心理的には、家族や一緒に登山するパートナーに愛される人でありたいと思っている。しかし、やろうと思ったことは絶対に成功してやるという野心もある。そのために「愛される人でありたい」という自分の気持ちを振り切ってしまおうとするところも出てくるわけです。
たとえば、仲間が自分より先に山頂を目指すチャンスを得たとする。父は、その仲間を妬むわけではありませんが、それが自分だったらどんなにいいかと考えてしまう。そこに野心家である父の強い葛藤があるのです。
ただ、父は地に足がついているというか、気取ったところも、おごったところもない人柄。誰に対しても平等に接することのできた人でした。それが父の魅力だと思います。
――これも映画に出てくるエピソードですが、エドモンドさんの父親がとても厳格な人だったそうですね。
祖父は、第一次大戦のガリポリの戦いで最前線に立った経験を持つ人でした。オーストラリア軍とニュージーランド軍が参戦して、多大な損失を被った戦いです。
祖父は幸いにも生還したわけですが、そういう時代を生き抜いた世代ですからね。子どもとはある程度の距離を持ち、厳しくしつけるのが父親の役割だと思っていたでしょう。父は、多分にその影響を受けていたと思います。父自身も第二次大戦中は、ニュージーランド空軍に従軍していましたし。
――それから、エドモンドさんは子どものころ背が低くて、学校ではいじめられっ子だったと。これは、のちのエドモンドさんの意志の強さと、何らかのかたちで関係していると思われますか。
子どものころのことについては、通っていた小学校が田舎の小さい学校だったのですが、父はそこでは天才といわれるくらい優秀だったそうです。 そこで、11歳のときに飛び級で都会の中学に入学したのですが、まわりの子は皆、体が大きいし、学業も父より優れた子はいくらでもいるとわかった。そういうことなんです。
父はそのとき、自分に少々失望したかもしれませんね。その劣等感を克服したい気持ちが、のちに大きな野心を持つにいたる背景としてあったかもしれません。
――最後に、エドモンド・ヒラリーさんが長年取り組まれたシェルパの村への支援と、現在のヒマラヤが抱える問題などについて尋ねます。
・ ・・・・・・・明日 ( 第4回 ヒマラヤ支援で大切なこと ) に続く・・・・・
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