◆ 山開き・海開きの日であると共に、山岳救助隊とライフセイバーの仕事始めの日。 &so、 ギリシャでスポーツ好きな若者を集めた神聖なる競技会が初開催(紀元前776年)。長い中断を挟んで100年位前に復活したが、今や当初の目的が忘れられ運営費や人件費が嵩張る結果に。 ◆ 南北戦争最大の戦い(1863年= ゲティスバーグの戦い)。怖くて銃を使えない兵士が多かったにも関わらず、作戦が単純すぎた結果、両軍合わせて5万人も死亡するというお粗末さ。 ◆ ソニーからウォークマンが発売(1979年)。何処彼処でも音楽を聴くながら族の増長を招いた。
◎ ◎ ピンクはなぜ論争の火種になりやすいのか、『バービー』でも注目 =後節= ◎ ◎
- - -古代の化粧から植民地主義、「バービーコア」まで、ピンクの文化史をひもとく - -
=National Geographic Journal Japan 〉ニュース〉旅&文化〉
・・・・ 2024.05.12 / 文=ERIN BLAKEMORE/訳=北村京子・・・・
1935年には、米ノースカロライナ州ローリーのニューズ・アンド・オブザーバー紙のような地方紙でさえ、夏の婦人服の流行色として「お気に入りはピンク」といった見出しの記事を掲載するようになった。 ○◎ 1939年、ロンドンのデイリー・テレグラフ紙では、ある王室コメンテーターが、ピンクの人気は凄まじく、花嫁の付添人も社交界にデビューする少女たちも、皆ピンクに身を包んでいると書いている。「だれもがピンクに夢中になっているため、一部にはこれに反発する女性もいる」とまで記事に書かれていた。
性別とピンクの運命
同じころ、ピンクは別の分野でも注目を集めていた。ベビー服だ。ジェンダーとベビー服とは、これよりもかなり前から関連付けて語られるようになっており、第一次大戦前後には、エチケットガイドやファッションコラムに、母親は子供にジェンダーに合わせた色合いの服を着せるべきだという助言が掲載され始めた。
では、ジェンダーに合わせた色とはいったいどんなものだったのだろうか。「タイム」誌に掲載された、1927年にある小売業者が行った子供服の色に関する調査を見ると、米国民の意見が二分されていたことがわかる。大手小売業者の一部が男の子にピンクを推奨していた一方で、別の大手小売業者は、ピンクは女の子にぴったりだと主張していた。
しかし1960年代には、母親たちは女の赤ちゃんにはピンク色の服を買い、男の子にはパステルブルーを着せるようになっていた。
「こうした変化は、育児の専門家による指示や、業界の意向によって起こったものではない」と、歴史家のジョー・B・パオレッティ氏は書いている。ピンクが赤ん坊の女性性を示すものとして強く意識されるようになったのはむしろ、第二次世界大戦後に見られた、米国の家庭において伝統的な性的役割を強化しようとする動きの一環だった。そしてそこには、利益拡大が見込めることに気づいた小売業者の思惑も働いていた。(参考記事:「「男子はブルー、女子はピンク」の理由はなぜ?」) https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/16/122700201/
「ベビー服が個々の子供のためにデザインされる例が増えるほど、――そして性別は個々の赤ん坊を区別するもっとも容易かつ明白な方法だ――、親はある子供の服を別の子供にお下がりとして与えにくくなり、また家族が増えるにつれてより多くの服を買わなければならなくなる」と、パオレッティ氏は書いている。じきに小売店では、ピンクの服やおもちゃをいっぱいに並べた「ピンクの通路」が展開されるようになった。
ピンクのダークサイド
ピンクは弱さや悪意の象徴として忌み嫌われることもあった。 たとえばナチス・ドイツでは、ピンクは強制収容所や絶滅収容所において男性同性愛者の印に使われ、冷戦勃発後には、共産主義への同調を疑われた者に「ピンコ」という蔑称が使われた。これには、急進的な政治に共感を抱く「赤」の傾向をもつ人物という意味合いがあった。
一方、女性解放運動のメンバーは、女性らしさや性別と分かちがたく結びついた色からは距離を置くよう努めていた。 ○◎ これに対し、反フェミニストはピンクを積極的に活用した。たとえば作家のヘレン・B・アンデリンは、1960〜70年代、フェミニズムを捨てて専業主婦としての生活を受け入れようと女性たちに訴える講演会の際には、全身ピンクのアンサンブルを着て登場した。 ○◎ ピンクを取り戻す。
ピンクは今もなお女性らしさを連想させる色ではあるが、ここ数十年間で、かつては侮蔑的な意味合いでピンクのレッテルを貼られた人々が、この色を取り戻す動きを見せている。
たとえばLGBTQ(性的少数者)コミュニティでは、かつて社会のつまはじき者としてピンクを身につけることを強要された人々が、社会正義を求める運動のシンボルとして逆にこれを採用している。1987年、エイズ活動家団体「ACT UP」は、HIVとAIDSの認知度を高め、この病気にまつわる偏見を解消するために「沈黙=死」と題して行ったキャンペーンにおいて、明るいバブルガムピンクの三角マークを採用した。このほかにもピンク色は、性的少数者であることの誇りを表現するさまざまな場面で使用されている。
一部のフェミニストもまた、皮肉を込めて多様な色合いのピンクを活用しつつ、ジェンダーの固定観念と戦っている。たとえば2017年のウィメンズマーチでは、ピンク色の「プッシーハット(猫耳帽子。プッシーには女性器の意味もある)」を被った大勢の人々が、ドナルド・トランプ氏の大統領就任式への抗議運動を行った。トランプ氏は当時、流出したインタビュー映像の中の女性器に関する猥雑な発言により、世界中から非難を浴びていた。
今日、ピンクがどんな意味を持つかは個人の解釈次第だ。そしてこの色の人気は今、再び高まりつつある。 ○◎ 今年公開のグレタ・ガーウィグ監督による映画『バービー』は、ピンクを多用するファッションスタイル「バービーコア」の台頭に拍車をかけ、その信奉者たちは自分の家やワードローブをあらゆる色合いのピンクで彩っている。
次はどんなピンクがわたしたちを魅了するのかはまだわからない。しかし、白と赤の中間に位置するこの色合いが辿ってきたカラフルな歴史を考えると、ピンク色の次なる全盛期はおそらく、すぐそこまで来ているのだろう。 ・
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