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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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“モグラ博士”哺乳類分類学 / 川田伸一郎(12/nx)_学究達=671

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ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=令和六年03月12日<ⰧⰊⰧ

☆ スイーツの日。この日の存在自体がスイーツ (笑)だと思う。 冗談は置くとして、死刑が戦後憲法の下でもO.K.というお墨付きが最高裁判所で下る(1948年)。 ☆ 「モスバーガーがいいね」と君が言ったから3月12日はモスの日(1972年)。 &so、 「三蔵法師が妖怪に食べられる」ドラえもん映画が封切り(1988年)。 ☆ バーミヤーン巨大石仏の破壊(2001年)でターリバーンの悪名は世界にとどろき、へきへきしたヤンキーたちが故郷に帰る道を探り始めた。

本日記載附録(ブログ)

車線上の無残な動物の轢死体_瞬時に目をそむけ、遭遇した不運を呪う

しかし、彼は「かわいそうに」を飛び越えて_噴き出す感情は「もったいない」

誰もが知り謎に満ちたモグラ_身近な存在である哺乳類を研究する「モグラ博士」

  自称「標本バカ」というほど標本にも魅せられた国立科学博物館動物研究部研究主幹

  「モグラ博士」として知られると同時に、「標本バカ」の哺乳類分類学者_川田伸一郎(12/mn)

【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

 第4回 夢は世界のモグラをコンプリート! =3/3= 

ノボシビルスクのシベリア動物学博物館には、哺乳類の標本がなんと11万点も所蔵されている。日本の国立科学博物館の5万点というのは、世界的にみるとそれほど大きなものではないようだ。そして、研究の世界では、数がものを言うことも、しばしばある。

「モグラの研究で、僕が知っているものの中で、一番たくさんの標本を用いたのは、ヨーロッパモグラの頭骨の標本8000点で、その変異を調べたものです。実はこれ、哺乳類の研究で使われた点数でも最大のはずです。僕は、それにはとても対抗できないけれど、シベリア動物学博物館にあった約1800点のアルタイモグラの標本を使って、種の中での変異を見ていきました。アルタイモグラはほかの哺乳類よりもかなり高頻度で歯の数と形に変異があると分かりました。日本に帰ってきてから論文にしたんですけど、そのあたりが実は転機でした。博物館の標本って大事だなあ、形態って大事だなあと強く思いまして、帰国してからは、標本バカです。別にもう、興味があるとか、そういう次元ではなく、とりあえず、標本はちゃんと登録して保存しとくもんなんだっていうのを学んだんですね」

 博物館の標本は、その動物に特別な関心があるかどうかにかかわらず、とにかく、受け入れたものを標本にしていく。だから、ある冬、シベリア動物学博物館を訪ねた日本人の博士課程学生が、シベリア固有のモグラの頭骨約1800点を見せてもらい研究することができた。

 標本って大事! 残しておくのは大事! 川田さんは、標本スイッチが入ってしまい、自称標本バカが誕生していた。

 川田さんの拠点だった愛知県設楽町の演習施設は、様々な家畜を飼育しており、当時の施設管理者(=川田さんの指導教官)の方針のもとに、できるだけ標本を残そうとしていた。冷凍庫にはまだ標本化されずに保管されている動物の死体がたくさんあった。

「ロシアから帰ってきて、まずやったのは、指導教官の先生が拾ってきた大量のタヌキやハクビシンの死体が、冷蔵庫にいっぱいたまっているのを、ガンガン標本化していくことでした。畜産系の演習施設だったんで、牛や山羊もよく標本にしたし、そのうちに、評判が広がって、猟師さんが、イノシシを捕ったからいるか?と声をかけてくれたり。三河湾にスナメリが座礁して死んでいるので拾ってこいって言われたり。水族館でトドとアザラシが死んだので引き取ってこいと言われ、トドって大きいから大変そうだと思いながらいったら、アザラシがゾウアザラシで、トドより大きくて。4トントラックで持って帰ったはいいものの、完全に凍っているのが融けるのを待ちながら作業をして、結局、2体で10日間くらいかかったり。もう完全に標本中心の生活になっていました」

 標本収集スウィッチが入ってしまった川田さんは、まさに「標本バカ」の高みに一気に駆け上がるのだった。

次回は“ 第5回 「無目的、無制限、無計画」の大切さ ”に続く・・・・・

【参考資料】 : 川田伸一郎と世界のモグラたち(5/5)

Ω 国立科学博物館動物研究部/2014年度大会公開シンポジウム記録 Ω

以上のように,筆者は染色体研究から哺乳類学の世界に入り,のちに分類学的研究を進めるために形態学的な観察も行うようになった.染色体分析に必要な新鮮なサンプルを得るためのフィールドワークは,標本採集および作成という行為を伴い,当然のことながら調査個体の種同定が必然となる.思えばいい流れで研究のスタイルを作ることができたと感じている.

最近の研究動向から未来を予見すると,遺伝子解析技術の発達によって分類学・系統学はよりミクロな視点で行われるようになってきた.たくさんの遺伝情報を調べて系統世界のモグラ 319推定を行い,隠蔽種を見つけてそれを新種として記載するための形態情報を調べる,というスタイルの論文が多々見受けられる.もはや遺伝情報は形態分類学者の観察能力を試す「答え合わせ」ではなくなってきたことが,少々残念に思える.

哺乳類学の研究者人口のうち分類学のような基礎を探求する研究者は減少し続けている.基礎研究をやる者の中でも,研究者間のネットワークの発達,遺伝子データ整備など研究自体がやりやすくなってきたこともあり,新たに動物を捕獲して調査するというフィールドワーク志向の研究者は少ない.博物館に行けば標本がたくさんあるのでそれを調べればよいと思うかもしれないが,形態の地理的変異や齢変異を調べるために十分な標本群はそれほどあるわけではない.

また乾燥標本や液浸標本では,本来の外部形態の特徴が変形して失われている場合が多い.また個体を捕獲する作業では生息地の環境や個体の行動などたくさんの情報が得られるのが利点である.便利な時代になったもので,インターネットに情報はあふれ,デジタルカメラは安く手に入り,プレゼンテーションはパワーポイントで簡単に作れる(そしてこの原稿はワードで何回でも書き直せる)といった具合である.

デジタルを使うなというわけではなく,こういう時代だからこそ楽はせず,過去の研究を振り返って,あえて古典的な研究手技にも手を染めてほしいと思う.今では海外に渡航する機会も増えている.未開の地で哺乳類の新種を発見して一山当ててやろう,という夢と冒険心あふれる研究者が育つよう応援していきたい.

おわり

Shin-ichiro Kawada: A report on the Open Symposium “Present and future of Mammalogy” at the Annual Meeting of the Mammal Society of Japan

2014: Shin-ichiro Kawada and moles of the world

著 者: 川田伸一郎,〒 305-0005 茨城県つくば市天久保 4-1-1 国立科学博物館動物研究部

 kawada@kahaku.go.jp

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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森のなかえ

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