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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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感染症の把握と実験室診断法/安田二朗(11/13)_学究達=607

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ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年12月06日<ⰧⰊⰧ

☆ トーマス・エジソンが自分で作った蓄音機の発表会の余興でのど自慢。曲目は「メリーさんの羊」(1877年)。人類史上、初めて機械が人間の音声を発声。     ☆ 赤道を挟んで夏だったオーストラリアで行われたオリンピックで、水球の試合がエキサイトし過ぎて血を見ることに(1956年=ハンガリー代表対ソビエト連邦代表のメルボルンの流血戦)。     ☆ カナダ・モントリオールで俺は女が嫌いだと叫びながら、25歳の非モテが14人もの女どもを血祭りに挙げ、エクストリーム・自殺(1989年)。

本日記載附録(ブログ)

エボラ、マールブルグ、ラッサ、クリミア・コンゴなどの出血熱

インフルエンザ、ノロ、マダニから移るSFTS

ウイルス性の「新興感染症」の研究と新たな治療薬の開発

 バイオテロ対策への貢献で文部科学大臣表彰科学技術賞をも受賞 

  = 感染症医療分野で未踏の領野に挑む・安田二朗(11/13)= 

【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

  第5回 バイオテロ用の画期的な小型検知器を開発 

知的好奇心に導かれて「未知を既知にする」ための研究でも、可能な社会貢献を同時に考えていくというのが安田さんの現在の姿勢だ。

 膜を持つウイルス、エンベロープ・ウイルスに広く効き、副作用も少ない抗ウイルス剤の構想とは別の方向性で成し遂げた「社会貢献」がある。それは科学警察研究所時代に開発し、現在、社会的実装が進んでいる「モバイル型生物剤検知システム」だ。感染性のある細菌やウイルスを検知するもので、バイオテロ対策に使われる。

「バイオテロの世界では病原微生物を生物剤っていう言い方をするんです。で、どんな生物剤を警戒すべきか、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)が、可能性・危険性からカテゴリー分けをしています。その中で一番上にくるカテゴリーAには、アメリカで同時多発テロの後に起きた炭疽菌郵送事件で使われた炭疽菌がありますし、僕が研究してきた出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルスもあります。それで、僕が科警研の新設の研究室でやったことのひとつは、皆さんよくご存じの東芝と一緒に、小型の生物剤検知システムをつくることだったんです」

 写真を見せていただいた。小型というのは、中型サイズの旅行用スーツケースに収まるくらいの大きさのもの。人が持ち運びできるという意味で、充分小型の検出器だ。

「CDCのカテゴリーAとBで、19種類の生物剤があるんですが、これを一気に一度の作業で検知できます。全自動で、高速モードだと45分、高感度モードで70分です。自分で言うのもなんなのですが、すぐれものです」

 バイオテロ対策のこういった機器の性能について、「相場」を知らないと有り難みもわからないので、その点も教えていただいた。

「以前、日本の警察庁が導入していたのはすべてアメリカ製だったんです。しかも2つぐらい型落ちしたやつをアメリカでの価格の倍くらいで買っていたんです。あんまり感度もよくなくて使い勝手も悪い。警察庁のテロ対策の部隊は、生物剤を扱うときに、宇宙服みたいな陽圧スーツを着て作業するもんですから、細かい作業ができないんで、そういう配慮も必要です。おまけにコストです。僕らが開発したものの価格は1500万円ですが、アメリカ製のは2000万円。しかも一度に1つの生物剤についてしか検査できなくて、それぞれに2~3万円かかってたんです。でも、僕たちのやつは、1回1万円ぐらいで、19種類同時に検査できます。これまで型落ちのものを買わされていた立場から、それを売って欲しいと言われる立場になりました」

 試薬をセットしたカセットを入れてボタンを押したら45分で、19種類の生物剤のどれがあるのか、あるいはないのか検出できる。ひとつひとつ確かめていたらその19倍の時間がかかるわけだし、それにともなってランニングコストもあがる。使いやすさ、時間の短縮、本体価格やランニングコストといった点で、圧倒的な強みがある。なるほど、これはすぐれものというのもわかる。

 非常に興味深いので、少し詳しく仕組みを教えてもらった。

「中で行っていることは、2段階あって、まずは、生物剤の遺伝子の増幅です。よく使われるPCR法は温度制御が難しいので、等温でできるLAMP法です。その後で、DNAチップというものを使って、一斉検知します。これは東芝がパテントをもっている独自のものなんです」

 1段階目で、試料に微量しか含まれていない遺伝子を増やす。遺伝子の増幅はPCR法が歴史もながく有名だが、ここでは比較的最近開発されたLAMP法。温度管理が楽だったり、増幅の効率がよかったり、間違ったものを増幅してしまわない(特異度が高い)という特徴があって有利だそうだ。

 そして、2段目。DNAチップというのはどういうものだろう。これはちょっとSF的に感じる。DNAというのは生体の中にあるもので、チップといえば電子回路。それらがくっついているわけだから。

「金の電極から、生物剤の遺伝子に固有のDNAを、化学的に合成して安定にした状態にして、にょろにょろと伸ばしてあるんです。増幅したサンプルの中に、生物剤に対する遺伝子があれば、くっついて2本鎖をつくりますよね。その時に、酸化還元電流が流れるんですね。金電極でそれを拾うことでシグナルとして検出できます。ターゲットのDNAがサンプル中にあれば、こういうふうにシグナルが出るという単純なシステムです」

 聞いてみると、やはりSF的な話だった。DNAと金電極!

 この開発は大成功で、安田さんたちのチームは、前にも述べた通り、平成26年度、科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)の表彰を受けた。現在は、全国で主要な都道府県警察のNBCテロ対応専門部隊に導入されているそうだ。

 なお、安田さんが考えるところ、バイオテロの生物剤で、テロリスト側から一番「使いやすい」のは、炭疽菌だそうだ。すでに「実績」があるだけのことはある。

「炭疽菌は熱にも乾燥にも安定ですから。一方で、ウイルスって、すぐに死んでしまうんです。僕ら、ウイルスの実験をしていますが、ウイルスの感染性を保持するために、マイナス80℃とかの超低温のフリーザーで保管しないといけないんです。炭疽菌は、普段、土の中に30年ぐらい感染性を持ったまま生存できるし、培養液や普通の細菌を育てる培地があれば、大量につくれます。ウイルスは生きた細胞がないといけないので、専用の培養器も必要でお金がかかります」

 なにしろ、1960年代まで、ロシア、アメリカが、ミサイルの弾頭に炭疽菌の芽胞(菌が非常に高い耐久性を持つ状態)、を入れて、生物兵器として使う研究をずっとしていたそうだ。ミサイルが着弾した時に発生する熱に、ウイルスを始めとするほとんどの病原微生物は耐えられない。しかし炭疽菌は余裕で耐えてしまう。なかなか物騒な話だが、その物騒なものに我々は対応しなければならない。

 もっとも、だからといって単に炭疽菌テロに注目していればいいという訳ではないのは明らかなのだが。

明日“ 第6回 致死率30%の新興ウイルスが日本に定着している!”に続く・・・・・

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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森のなかえ

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