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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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現代の探検家《田邊優貴子》 =55=

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○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○

◇◆ 第25節 特別編「北緯79度なう!」 =1/4= ◇◆

  みなさん、とてもお久しぶりです。 南極から戻って早1年半。 今年の夏はもはや異次元のような暑さでしたね~。 なんて言いたいところですが、実は私、酷暑にあまり身を委ねることなくこの夏を過ごしてしまいました。 というのも、2013年7月1日~8月1日にかけて、北極へ調査に出かけていたからです。 さらに帰国後すぐにイギリスへ出張し、帰ってきたときにはもう8月末・・・・・・

 ここ6年間の私は、夏は北極、冬は南極(向こうは夏)、春と秋は東京、なんていうちょっと常軌を逸脱した生活を送っています。 いや、もしかしたらこれが私の生活のスタンダードになってしまいつつあるのかもしれません。

 「いい大人なんだから、もっと地に足をつけろ」なんて声が聞こえてきそうですが、すっかり開き直っている私には、もはやそんな言葉はただのそよ風。 スルリスルリと通り抜けていくだけです。

 実は今年の冬も、南極・スペイン基地へ調査に行く予定でした。 が、スペイン人の研究者から「国の財政状況悪化により、スペイン隊の南極行きが中止になってしまった・・・」という連絡をもらったのが、ちょうど7月真っ只中の北極にいる時でした。

 そんなわけで、ここにきてついに私の連続隔年南極行は頓挫してしまったようです(これまでも単なる偶然や必然の仕業でこうなっていただけですけれど)。 それにしても、もろもろの研究計画を立てていた&心の準備をしていたので正直とても残念ですが、スペイン基地へは次のシーズンに期待したいと思います。

 ということで、久々の「南極なう!」、 本日は「北極なう!」的特別番外編をお送りします。 北極と言ってもイロイロ。 人によって思い浮かべる場所は違うでしょう。

 北極圏に領土を持つ国は全部で8カ国。 アメリカ、カナダ、ロシア、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、デンマーク(もちろん本土じゃなくグリーンランド)です。 陸地ではなく、北極海や北極点を思い浮かべる人もいるかもしれません。
 私の調査地はどこかと言うと、ノルウェー北端の町トロムソからさらに北へ1000kmほど、北緯80度あたりに浮かぶスヴァールバル諸島のスピッツベルゲン島にあるニーオルスンという国際研究村です。

 成田空港からデンマーク・コペンハーゲンに飛び、ノルウェー・オスロ、トロムソを経由してスピッツベルゲン島のロングイヤービンという町までは定期便の飛行機で行くことができます。 そして、ロングイヤービンからは10人乗り程度の小型飛行機をチャーターして30分ほどでニーオルスンに到着。 マトリョーシカのごとく乗り継ぐごとに飛行機が小さくなり、気づけば合計5つもの飛行機に乗ったことになります。

 とは言え、南極・昭和基地へは日本を出発してから1カ月もかけて辿り着くのに、なんと北極・ニーオルスンには3~4日間で着いてしまいます。 わーい!と思う半面、なんだか世界が狭くなってしまったような気がしてちょっと寂しくもあるのです。

 しかも、南緯69度の昭和基地に比べて、ニーオルスンは北緯79度。 年間の平均気温は昭和基地がマイナス10.4℃で、ニーオルスンがマイナス6.2℃。 10度も高緯度に位置するのに、ニーオルスンのほうが4℃も暖かい。
 ニーオルスンに降り立った瞬間、 「あ!ここなら生きていける!」 と感じてしまうのも無理はありません。

 7月4日、小型飛行機で降り立ったスヴァールバルのツンドラの原野には、足首ほどの背丈しかない色とりどりの小さな花々が一斉に咲き乱れていました。 真夏の太陽で融け出した雪と氷河からできた無数の濁流がうねる大地、小さな虫が花の近くをひどく鈍い動きで飛び交い、トナカイやグースたちがコケや草花をムシャムシャと食み、ホッキョクギツネがウロウロ、空にはキョクアジサシがヒラヒラ。生き物たちの熱気で溢れ返っていました。

 

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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