○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○
◇◆ 第16回 「牛乳と南極と私」 =2/2= ◇◆
幼い頃から私は乳製品中心の食生活を送ってきました。 自宅の冷蔵庫には水よりも、基本的に牛乳や飲むヨーグルト。 水分は牛乳で補う、という習性がいつの間にか身に付いているようです。
高校生の頃まではバニラヨーグルト(ルナ?)、大学に入ると健康ヨーグルト(グリコ)。 途中、ヨーグルトにマシュマロを入れて一晩寝かせて食べるのが異様に流行った時期もありますが、大学院に入る頃にはソフール(ヤクルト)の美味しさを再確認し、今でも専らソフール派です。 バニラヨーグルトという、少し変化球じみたものを好んでいた自分は今思えばとても青く、さらには、ヨーグルトにマシュマロとは、もう目も当てられません。 少しお洒落で小粋な大人、とでも思っていたのでしょうか。 ヨーグルトはファッションではないのに。
そういうわけで、牛乳および乳製品を愛して止まない私は、どうしても、この4カ月間牛乳と離別するという決断ができなかったのです。 ただの旅行、もしくは1カ月程度の野外調査ならば何ら問題はないですが、南極での野外調査は長期戦。成功させるためにも、食はとても重要なのです。
実はこのミッションを実施するのは、今回で2度目。 前回(2年前)は、牛乳大好き隊員3名のパーティーだったので、1リットルのロングライフ牛乳を60本調達しました。 しかし、そのとき大きな障壁として私の前に立ちはだかったのが、スーパーから船までどうやって運ぶか、という点でした。スーパーマーケットからしらせまでは徒歩10分ほど。 ルートの最後には、しらせの舷門へ続く、狭くて安定感のない階段という難関が待ち構えています。
私はそのとき、「80リットルのザックに入れて背負う」という体力でカバーする作戦に出ました。 とは言え、牛乳だけでも60kg、その他にもチーズやヨーグルト、真空パック詰めの豆腐、瓶に入った調味料各種など、様々なものを購入していたので、合計約80kg。2人で手分けしても、約40kgずつ。
普段、南極で湖沼調査をするときでさえ、20kg程度を担いでまわるくらいです。 しかしもう、やるしかない。
根性でなんとかミッションを成功裏におさめたものの、ザックを背負って船内にたどり着いた頃には、私はすっかり後悔していたのでした。
そんなこともあって、今回の私はクレバーな作戦を思いつきました。 なんと、「60リットルのキャスター付きバッグで運ぶ」という画期的な作戦。 このミッションをあらかじめ想定して、用意しておいたのです。 南極3度目ともなると、人はなかなか学習をするものですね。
キャスターバッグをガラガラと引きながら、意気揚々と近くのスーパーマーケットCOLESに出かけ、驚くほどあっさりとミッションは成功。 日本から積み込んでいた、大好きなフルーチェ20箱と牛乳を対面させると、これで南極での調査がうまくいくような気がして、私は思わず顔がほころんでしまったのでした。
しかし、そんなオーストラリアでの日々は今やもう信じられません。 急激な寒さに加えて、今朝8時02分、幅200メートルの大きな氷山が初めて視認されました。
亜南極~南極に棲息するハイガシラアホウドリやマユグロアホウドリ、ワタリアホウドリ、オオフルマカモメ、マダラフルマカモメ、まっすぐに南下しているおかげで、日々刻々と海の色や生き物が変わっていっています。 夕方から少し船の動揺が大きくなってきています。
さて、明日はついに南緯60度。
2011年12月5日 南緯56度、東経110度 しらせにて
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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