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現代の探検家《田邊優貴子》 =35=

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○

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◇◆ 第13回 エビが泳ぐ湖、ここはトロピカル南極 =3/3= ◇◆

 GoProで撮った映像が早く見たかった。 映像データをパソコンにダウンロードし、エビが水面を泳いでいたチェスターコーン湖の水中映像を再生した。

 かたずを飲んで画面を見つめる。 氷の穴を抜けると、すぐに湖底の様子が見えた。 砂のような湖底にところどころコケがフワフワと茂っている。 カメラが湖底に到着した。

  「おおおおおぉーーーー!」

 ホウネンエビの群れが水中をワサワサと泳ぎ、湖底を匍匐前進するように張り付いていた。 まさかこんなにいるなんて。水面にただ1匹泳いでいた様子からは全く想像もできない光景。 なんだかまるでアクアリウムの中を見ているようだった。そして、コンパクトデジカメで必死に1匹のブレブレのエビ画像を撮影して満足していた自分が少し恥ずかしくなった。 けれどまあ仕方がない、あの頃は水中にこんな世界が広がっていることなんてまだ知らない時代だったのだから。 たった2 時間半前のことだが、若気の至りである。

 大陸南極のアンターセー湖と、南極半島エリアのバイヤーズ半島。 この2つの水中世界は大きくかけ離れていた。 けれど、昭和基地周辺はどちらともそれほどかけ離れてはいない。 やはり2つの中間に位置する生態系と言える。昭和基地周辺の湖が太古からの中間的な生態系であるとするならば、このバイヤーズ半島の湖のように生命あふれる生態系はどれほどの時代を経て生まれるのだろうか。

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  同じ南極でも、2つの環境には大きな違いがある。 まずほかの大陸からの距離が違う。 南米大陸の先端からバイヤーズ半島までは約900kmなのに対し、アフリカ大陸の先端から昭和基地までは約4000km。 4.4倍の差がある。その距離の差に単純に比例する以上に、外から生物が侵入してくるチャンスは、昭和基地周辺のほうが格段に少ない。

  それから、忘れてはいけないのは海鳥の存在だ。 ここバイヤーズ半島には大陸南極とは比べ物にならないほど数多くの海鳥がやってくる。 そして彼らを介して色んなものが孤立した南極大陸の外から陸の上に運び込まれるのだ。さらに、やはり気候の違いは大きい。 比較的温暖で、こんなにもウェットな環境のバイヤーズ半島では生き物が利用できる液体の水がたくさんあって、しかも利用できる期間も長い。 これは生物が侵入して定着する上でとても重要なポイントだろう。

  夜、このトロピカル南極の空はとても美しいピンク色に染まり、サンピラー(太陽柱)が現れた。

  私がこれまで見てきた南極とは全く違う南極。 それを知り、実感できただけでもここに来た意味はとてつもなく大きい。本当に純粋に、ただただ心からそう思った夜だった。

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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