○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○
◇◆ 第12回 とにかく湖まで行ってみよう =3/3= ◇◆
最初のリムノポーラー湖から次のチェスターコーン湖までは2つの峠を越えて1時間、チェスターコーン湖からまた1つ峠を越えたミッジ湖までさらに20分かかった。 奴隷状態で疲れた私たちはミッジ湖の湖氷のチェックを終えて昼食にした。
4つめのアサ湖はミッジ湖から30分も先にあり、しかも峠を2つ越えてからだいぶ山を下らなければならなかった。 こんなに下ってしまうととても損をした気分になる。帰りにまた同じ道を登らなければならないからだ。 明日からアイスドリルや調査機材など重量物を持って通うことを考えるとかなりハードワークになるし、時間もかかる。湖を調査してキャンプ地に戻れば、そのあとにサンプル処理や光合成の測定といった作業もしなければならない。
どうしたものかと思いつつアサ湖の湖面まで行ってみると、雪の下の水は膝くらいまであり、湖氷もグシャグシャに解けかけていた。 この湖はかなり浅いのだろう。運が悪ければ、氷を突き抜けて水の中に落ちてしまう危険もある。 おかげで、ここを調査対象から外すことに決心がついた。
偵察を終え、キャンプ地に戻ると17時だった。
今日1日、奴隷状態になって足がクタクタだったけれど、とにかく湖を巡り歩いてみて、この辺の地形、湖氷、雪の状況がだいぶ掴めていた。 もう論文で読んだだけの想像の場所ではない、実感を伴って理解した場所になっている。やはり、自分の足で歩いて、自分の目で見てみないと何も始まらないのだ。 しかも、十数年に1度の大雪という普通ではないタイミングで私はここに来た。 それは、環境は決して一定ではなく、常に変動し、時には大きな振れ幅でそれが起こるものだということを忘れてはいけないと私に語りかけてくる。
さて、ではそんな環境の下で湖の中はどうなっているのだろう? そして、そこに暮らす生き物たちはどうしているのだろう? そもそも、ここの湖の中にはどんな世界が広がっているのだろう?
私の中で色んな疑問や好奇心がぐるぐると駆け巡っていた。 疲れてお腹が空いて今日はもう何もしたくなかったけれど、私は気合いを入れて明日からの調査に向けて機材の準備や動作確認をした。 ワクワクしながらソワソワしながら。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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